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はじまりはスクリーン

ずっと映画好き、50を越えても映画好き。
あと50年は映画が観たい。

この頃になると、子供も手がかからなくなり、一緒に映画を観ることも多くなりました。

「スクール・オブ・ロック」は家族で何度も観に行きました。

そのくらいはまってしまった作品。

もう16年も経つんだ~、と感慨深いものがあります。

 

スクール・オブ・ロック

The school of rock

2003年アメリカ

リチャード・リンクレイター監督

公開当時から何度観たかわからないほど大好き!

「ハイフェディリティ」でも見せてくれた

ジャック・ブラックの全身コメディセンス、

さらに上を行くテンションと技量。
動きのすべてがロック。
ジャック演じるデューイは姑息な手段で名門小学校で臨時教員になる。
エリート揃いの子供たちを相手にロック指南。
ロックコンテストで優勝するために練習を重ね、あの手この手で出場を勝ち取る。
バンドの楽器・ボーカル担当の子供たちは、
全米から集められたそれぞれの分野のスペシャリストたち。
だからテクニックが半端じゃない。
そのあたりも見どころ。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフから始まるなんて、
ほんとロックの王道なんだけど、これがまた楽しい。
AC/DCの曲に乗ってプロジェクトが始まる。

ロックの名曲てんこ盛り。

終盤のライブシーンは鳥肌もの、感涙必至。

エンドクレジットまで目が離せません。

 

 

殺人の追憶  Memories of murder

2003年 韓国 ポン・ジュノ監督

韓国ではあまりにも有名な、ファソン連続強姦殺人事件。
その未解決の犯罪をもとに、独自の調査と史実により、
緻密に書き上げられた脚本は見事というほかない。
背景・人物描写・ユーモア・リアリティ・サスペンス。
すべてを兼ね備えた脚本に応えた俳優陣の、完璧にして入魂の演技。
ソン・ガンホの余裕とも思えるいぶしたような存在感、
キム・サンギョンの徐々にあらわになる秘めた正義。
脇の役者も何とも言えない個性。
登場する人物すべてから目を離せない。
稀にみる凶悪事件にも関わらず、
的確な指針を持たないアナログな時代ゆえの不透明な捜査、
1980年代という時代の波に翻弄された揺れ動く韓国の姿。
次々と投げ出される新しい死体に、
いらだち狂気を隠せない刑事たちの悲しいまでの苦悩が、
こちらに痛いほどに伝わってくる。
すべてのセリフ、それはたわいもない恋人同士の会話や、
署内でのささやかな日常のやりとりまでが、
絶妙なタイミングで耳をとらえる。
張り巡らされた伏線が要所で姿をみせる。
結果、クライマックスの線路での息詰まる雨のシーン。
トンネルの中から浮びみる、銃を向ける刑事とうずくまる容疑者の影。
20年後、あの最初の場所を訪れるパク元刑事が聞いた、
もう一人の来訪者の顔。
たとえ時が流れ、何もかもが変わってしまっても、
この殺人の思い出は人々の心から消えることはない。
ファソンの田園風景とソン・ガンホの最後の

顔とともに脳裏に鮮やかに焼きついてしまっているのだ 。

 

列車に乗った男  L'HOMME DU TRAIN

2003年フランス パトリス・ルコント監督

孤独な男が孤独な男に出会い、不思議な縁でひかれあっていく。 
孤独であるという点以外ではまるで正反対のふたり。 
孤独な者は、やはり同じ孤独な者をみつけるのが上手だ。
このふたりの男がお互いに影響をうけあい、
ひとりは自分に欠けているワイルドで度胸ある行動をとるようになり、
長年の夢である射撃まで試みる。
ひとりは室内履きを始めてはいてみたり、詩を覚えて諳んじてみたり、
知的好奇心をも満たそうとする。
そんなペーソスにあふれたやりとりが続き、
このまま心温まるふれあいの物語で終わるのかと、思った終盤、
運命の土曜日、急激なクライマックスが訪れる。
すべてはこのラストのために描かれていたに違いない。
瞬間、何が起こったのかわからないほどに、私は動揺した。
現実なのか、まぼろしなのか。
そして、ふたりが道の両端で見つめあい、反対の方向に歩き出すこのシーンで
なにかが胸の奥から突き上げるようにやってきて、涙が溢れ出す。
そうか、やっと望んでいたものが手に入ったんだ。
列車に乗って旅立つ男と、屋敷でピアノを奏でる男。
今までのふたりの言葉、些細な行動、まなざしを思い出して、
また胸がいっぱいになってしまう。

ジャン・ロシュフォールのペーソスあふれる演技は神業。

 

エターナル・サンシャイン
Eternal Sunshine of the Spotless Mind
2004年 アメリカ 

ミッシェル・ゴンドリ-監督

誰もいない真冬の海岸で出会った二人、ジョエルとクレメンタイン。
ニューヨークのグレイな冬を背景に、
どこにでもいそうな男と女の恋が始まり、唐突に終わる。
ジョエルの元に届いた「クレメンタインはジョエルの記憶を消しました。」という
ラクーナという会社からの手紙。
ジョエルについての記憶を消したクレメンタインに対抗して、
彼も彼女の記憶を消そうと決める。
ジョエルの記憶を消す作業の中で、
人はどうやって愛する人と別れ、どうやって恋に落ちて行くのかが
時間が巻き戻されながら描かれていく。

誰もいない雪の海岸、凍った湖、
色のない風景と乾いた空気感、
部屋の中に降る雨、海辺に放り出されたベッド、

小さなジョエルとママのキッチン、
壊れていくビーチハウスと消えていく最後の思い出・・・
センチメンタルにしてイノセントな映像もこの映画の余韻のひとつ。
ジョエルの脳内の出来事なのでとても断片的で不条理な映像、
果てには彼の幼少時代まで飛躍したりと、
カウフマン脚本独特の複雑な展開ではある。
謎解きのような伏線や意味深なセリフもたくさん出てくる。
そんなどこかミステリアスなピースが、
いつしか自分の中ですっきりと収まっていく過程はとても爽快。
それだけではなく、最後まで飽きずに目を凝らしてみてしまう魅力的な要素が
この映画にはたくさん詰まっている。