(前のブログからの続き...)
ゴーストシンガーのマーニさんはスタアになることを夢見て、あふれる才能もあったのに、運命が少しズレて、影の歌声としてスクリーンに存在したわけです。
自分は何ものなのか、ゴーストシンガーとして悩んだでしょう。歌をやめることを考えたかも。身動きが取れない日々。それだけ当時の業界は力が強かった。
でも、彼女は状況を放り出さず、持ち前の歌の才能を信じて前進したのです。
少ないシーンながらサウンドオブミュージックではスクリーンに映り、歌うことができ、念願のクレジットもされ、その後は、生身の自分で勝負するNYのブロードウェイに移り、数々のステージに出演。あまりにゴーストシンガーの逸話が話題になり、その後のことがあまり語られないのですが、そのブレないパワーの素晴らしさ。
天性の歌唱力があったとしても、誰もがスタアになれるわけではない世界。その中で歌うことが好きで、歌い続けたいと思う気持ちが現在85歳を過ぎても持続しているのです。素晴らしい。
うまくいかないことや、立ち塞がる壁はいつの日も誰にでも同じように隣り合わせにあり、元々望んでいた自分の心が曲がってしまうことはあります。
私だって振り返れば、心が曲がりそうでピンチの時は多々あったけれど、今はね、しっかりと心の組み立てが出来ているのでブレることはないのです。
長く、長く、PERSONZというバンドをやっていてこれだけはわかるからね。
このバンドは唯一無二。
32年前にこの4人が出会い、山あり谷あり、それぞれに離れた気持ちがつらかったこともあったけど、再び共に音を出すようになってから、あらためて、この絶妙なバランスがひとつの生命なのだと確信しています。
私にとってブレない心は、まさにこの4人で奏でるPERSONZの「音」への愛情。
そして、そのPERSONZで歌うことがなにより自分にパワーを感じさせるのです。
だけど、まわりの世界には、なかなかPERSONZを受け止めてくれる場所がないのも厳しい状況です。
メディアは常に若くて新しい音楽や、過去にミリオンクラスで売れている方々に集中するので、そうそうPERSONZの音楽を取り上げてはくれません。
テレビの音楽番組は業界内の結びつきの濃い世界。NHK、民放、BS、CS、いずれも私たちを毎回出演させてくれることはありません。ラジオ番組もそうですが。
だからと言って安易な気持ちでテレビに映るタレントには絶対なりたくはないのです。(これはあくまで私が安易にという意味ですよ)音楽をちゃんと伝えられる場所は大歓迎だけど。
結局、根本は4人でしっかりとした状況を用意してライブをするコンサートが1番輝かしい場所なのです。
今の時代、CDは売れないと言われています。アイドルのCDを作品ではなく特典として買う購買層や大手のメーカーが手がけるアイドルが売れているという世界は別のもの。
だけど、そんな時代でもPERSONZの音源を心待ちにしていてくれる人たちは確かにいます。
アナログの時代の私たちのレコードをしっかりと痛まないように包んで持ち続けてくれたファン。
テープに入れて、それこそ擦り切れるまで聴いてくれた作品。
5年も費やしてやっと制作できた20枚目のアルバムだって何度も何度も聴いてくれているはず。
いやいや、まだまだ、PERSONZはやれます。
50代を超えたバンドだけに年々リスクは高くなるけど、年々、このバンドがますます愛おしく思えてきます。
今はやれることをやるだけ。
そこにPERSONZがまだ現存するなら、私はなによりもPERSONZを大切に思うし、PERSONZで歌える日々を貴重に思います。
そして、PERSONZは4人の誰かが欠けたらそこで終わりです。
続けられるはずがないのです。それだけは絶対ブレません。
この思いだけ心にあれば、なんだって乗り越えられます。
そうなんです。だから、
ブレない心は、つ、よ、い、のだ!
とにかく秋から再スタートするライブ。この気持ちを胸にやりますから、期待していてくださいね。待ち遠し〜!