昔、貿易の仕事をしていた。
広大なアメリカ大陸を今日は東に、明日は西へ。
地図を片手にボストンバッグひとつだけをひっさげ、
北へ南へ車を走らせた。
忘れもしない2001年9月11日。
世界中を震撼させたあの大事件が起きた。
買い付けの仕事を終え、帰国を二日後に控えていたまさにそんな時だった。
しばらくの間、どこにも連絡が取れない状態が続いた。
生まれてはじめて、たとえようのない「孤独感」に何度も、何度も襲われた。
だから、帰国当日の朝のことを今でもよく覚えている。
空港へ向かうシャトルバスのフロントガラスから差し込む一条の光。
まるで土砂降りの雨の後、大空にまばゆく光る虹のようにキラキラと見えた。
しばらくぼーっと眺めていると、
胸の奥がぐーっと熱くなった。
そして、周りをはばかることなく、
男泣きしてしまった。
希望は、苦しみや悲しみ、
そして、失意のどん底、絶望の中から生まれてくるのかもしれない。
だから、どんな時も、どんな時も、
どんなことがあっても、どんなに苦しくても、
最後の、最後まで決してあきらめてはいけない。
いつでも、いつの時も、どんな時も、心に夢を、
希望をけして忘れてはならない。
“旅”はまだまだ続く。
今度は地図を錫杖に持ち変えて、
「南無大師遍照金剛」を唱え、
東に西に、北へ南へ同行二人。
また新しい明日へ向かって、
希望の一歩を、
みんなと共に力強く歩んでいく。