早いもので、もう約7年前になる。
長い闘病生活の末、この世を去った母の追福菩提を祈るために歩き遍路へでかけた。
約1,200kmにもおよぶ巡礼の旅。
季節は真夏、7月の後半から8月にかけて。
連日の猛暑日、さらに強風や突風、強雨や雷雨、台風まで……、本当にいろいろとあった。
そうした中、恥ずかしい話、何度も途中でリタイヤしそうになった。
その度に真言やお経、御宝号(南無大師遍照金剛)をお唱えして、何とか乗り越えた。
しかし、そのうちに足の裏のマメがつぶれ、その傷口が化膿し、立っているのもやっとの状態に。
そんな時、見ず知らずの方々から「お接待」(おせったい)を受けた。
ペットボトルのお茶や、果物などいろいろ。
何度も手をあわせながら、気づくと愛染明王様の真言をお唱えしていた。
その後、そのことが何かの機縁(きえん)としてつながりはじめたのか、
いろいろな方々から励ましの言葉などをたくさん頂戴するようになった。
一蓮托生、この世は一つの大きな蓮華(レンゲ)。
仏教の象徴ともされる蓮(ハス)は、泥より出(い)でて泥に染まらず、泥中から力強く、そして、清らかな花を咲かせる。
これまでに受けた親切や温情や恩義、今度は私から、次の誰かへ、幸せの数珠つなぎ、“幸せのバトン”として手渡したい。
そのバトンこそ、真実の言葉、仏様からのメッセージ、真言なり。
うまく言えないが、真言には私たちを勇気づけたり、
応援してくれたり、励ましてくれたり、
人と人の絆を深めてくれたりする何かがある。
「真言(しんごん)は不思議(ふしぎ)なり 観誦(かんじゅ)すれば無明(むみょう)を除く 一字(いちじ)に千理を含み 即身(そくしん)に法如(ほうにょ)を証(しょう)す」 (般若心経秘鍵)
同行二人
南無大師遍照金剛
合掌