あるところに、ひとりの目の不自由な老婆がいました。
子供の頃からほとんど目が見えませんでした。
ある時、通りすがりの旅人が旅先で見てきた美しい風景や、壮大な景色の話をいろいろとしてくれました。
老婆は、じっとその話に耳を傾けました。
そして、旅人が去った後、老婆は村はずれの小さな祠(ほこら)へ出かけました。
中には小さなお地蔵さまが。
一つだけどんな願い事も叶えてくれるという。
老婆は、「この世を去る前に一度だけ、この目を見えるようにしてください」と。
そんなある日のこと、早朝目が覚めると辺り一面が見えるようになっていました。
驚いた老婆は、真っ先にお地蔵さまのもとへ向かいました。
手を合わせようとしたその時です。
お地蔵さまの目がなくなっていることに気づきハッとなりました。
「願いをかなえくれてありがとうございます。でも、お地蔵さまを犠牲にして自分の目が見えるようになっても、嬉しくはございません。どうかもとへお戻しくださいませ…」。
止めどもなく涙が頬をつたい、
お地蔵さまの目がもとどおりになることを一心に祈りました。
すると、お地蔵さまの目から一粒の涙がこぼれ落ち、
「あなたは、その目で見て、感じ、心に映った風景を、今度は、次の誰かにあなたから伝えてあげてください…」。
月日が流れ、
老婆は、この世を旅立つ時に「来世、もし生まれ変わったら、今度は私が苦しむ衆生に手をさしのべてあげたいです」、
そう強く心に誓い、静かに息をひきとりました。
観自在菩薩は、“自在に観る、この世の美しい景色、素晴らしい風景”、
ただし、それだけではなく、目には映らない大切なもの、かけがえなのないもの、
私たちが見失ってしまいそうになるもの、
「こころ」を観じ、“いのち”の輝きを伝えてくれるボーディサットヴァ(有情=心あるもの)、だそうです。
お地蔵さまをはじめ他の仏さま方と共に力を合わせて今日もたくさんの苦しむ人々のために。
この話は、昔チベット旅している時に兄弟僧から聞きました。
今でもお地蔵さまや、観音さまの真言を唱えるたびにこの話を思い出します。
生かせいのち
南無大師遍照金剛
合掌 天宮光啓
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