先日、密教(秘密仏教)の合掌の印についてご質問を受けました。
分かりやすいように写真を掲載しておきます。
こちらは、堅実心合掌(けんじつしんがっしょう)というものです。
最も一般的な合掌です。
手と手を隙間がないように密着させ、両手をしっかりと合わせます。
名の由来通り、私たちの「堅実なる心」を表わします。
そして、密教ではこの金剛合掌(こんごうがっしょう)をもちいます。
写真のように左右の指先が互いに交差するように両手を合わせます。
横から見るとこんな感じです。
右手の方がすべて上になるよう両手を組み合わせます。
仏教では、基本的に右手が仏の世界(仏界)を、
左手が私たち人間を含めた「生きとし生けるものすべての世界」(衆生界)を表わすとされています。
よって、仏教発祥の地インドでは右手を清浄なる手、左手を不浄なる手とみなします。
密教には、教主大日如来の「秘密の教え」があります。
一つには、「衆生秘密」(しゅじょうひみつ)といって「私たちは誰もがブッダ(覚者)になることができるのにそれに気づかない」という教えです。
そして、二つには「如来秘密」(にょらいひみつ)といって「大日如来の教えは仏の世界の言葉であり、人間が簡単に理解することができない、非常に難しい」という教えです。
そこで、こうした如来の難解な秘密の教え(仏の智慧)を知るためには、
左右の手をそれぞれ深く交互に組み合わせます。
つまり、仏界の右手(仏の智慧と慈悲)と、
衆生界の左手(私たちの内に秘められた仏性)とが合わさることで秘密の教え(仏の智慧)に近づくことができるようになる。
金剛合掌は、まさしく秘密の教え(仏の智慧)を象徴した、シンボル、マーク、シグナルであるといえるのではないでしょうか。
したがって、もし合掌の印を結ばれる時には、
この金剛合掌を思い出してみてください。
そして、さらに真言(マントラ)や、観想(瞑想)をあわせた三密観も機会があればぜひ。
きっと、何かまた新しい、新たなる素晴らしい発見があるかもしれませんので。
合掌 天宮光啓