15年、オバマ大統領は中国に乗り込んで習近平と2人きりで8時間に亘る長談義の結果、習近平の提起する 「米中は、互いに衝突せず、対立せず、相互尊重win  win の原則に基づいて関係発展を進めなければならない」 に実質合意した。

 16年初には、ASEAN首脳を集め 「中国と事を起こさぬように」 と言い渡し、続いてケリー国務長官が主要国を回って 「中国と事を起こしても、米国はどちらの肩を持つこともしない」 と念押し。

 

 トランプ政権最初のティラーソン国務長官も、この合意をことさらに挙げ、我々もこれに従うと言明。   ただこの下でトランプ政権は、中国の技術盗用の数々を上げ、これを断固許さないとばかりに中国敵視政策を打ち出し実行に踏み切った。

 

 バイデンは、オバマ-習合意を守るが、かつトランプ時代に一気に盛り上がった中国敵視政策を覆すこともできず 「中国は敵国ではない、競争相手だ」 とトランプとの基本的違いを表明。   当面はトランプ政策を踏襲してきた。

 だが大統領選挙を1年後に控え、主要長官を次々中国へ送り込んだが実質的ニュースは何もない。

 中でも、習近平と話ができると踏んだ米国の ‘脱CO2政策’ の先導役であるケリー元長官 (クリントンのリオ地球サミットにおける条約への署名に反対していた) を 「中国との協力発展テーマ」 を協議すべく派遣したが、何の成果もなし。

 

 今や中国は、再生エネルギー分野もEV分野も世界市場を席巻しているのだ、バイデンの出る幕など全くない。

 COP28への欠席を表明したのも当たり前。

 自信をもってエネルギー事業を原発から風力発電へ転換した独シーメンス社の思い込み違いを見ればよくわかる。

 100億トンのCO2排出を批判されても 「再生エネルギー分野で世界にどこより安価な設備を提供しているのは我々中国だ」 と言ったところだ。

 EUリベラルも地球環境問題の行き着くところをやっと理解せざるを得ないことになったと言うことだ。

 

 バイデンは現状を読めない。

 ウクライナもイスラエルもどうしたらよいかわからない。  民主党左翼が騒ぎ始めた ‘人道問題’ に振り回される。  EUも自国の財政悪化対応に必死。  論理無きリベラルの実態だ。

 世界はトランプを待つことになる。