岸田政権は結局、独メルケル政権を思い出させる。

 リーダーではなく、まとめ役なのだ。

 メルケルは、自らの足元を明確にすることなく連立を組む社会民主党の意見を受け入れることによって、国民全体に受け入れられることに重点を置いたのだ。

 これによって、大きな対立もなく長期政権が続いた。   EUからも重宝されたが、肝心の自らの足元であるべきキリスト教民主同盟の存在価値を薄めると言う決定的 ‘失態’ をもたらしたのである。

 

 岸田政権も同じように、自民党内に多くたむろするリベラルと公明党の意向を重視することによって、国会における本来の政策議論から ‘モリカケレベル’ の低次元政治に貶めることとなっており、足元の  自民党本流であるべき国家第一の基盤固めから遠のき、典型的浮き草ポピュリズム政治に陥っているのだ。

 参院本会議での岸田政権支持を表明している世耕弘成自民党参院幹事長による代表質問がそれを強く指摘したものであろう。

 

 具体的にメルケルは、脱原発・脱CO2という産業強国ドイツの根幹を否定し、その無知ぶりを安倍政官邸もあきれるような中国共産党かぶれは、ドイツの向かう方向を大きく誤ったと言う保守党が、最早取り返しの出来ない失政を恨んでみても 「後の祭り」 状態はどうしようもない。

 こうしたまとめ役政治は、当然その場の口当たり重視のリベラルと言う愚民政治に陥り、国家の本流たるべき保守政治から乖離していくのである。

 

 岸田も表立って党内から不満は出ないが、保守本流からは見放され始めている。

 憲法改正も、9条に自衛隊を明記すると言う一点で実施すべきであり、どうでもいい多くの改正案を集めてみてもただ時間を無駄にするだけで、先延ばしの口実でしかなく実質的意味は全くないことが明らか。

 そも左翼は 「憲法改正ハンターイ」 なのだから。

 

 我が国の国際的影響力を発揮するためにも、まず国益を守る国防の原点を世界に向けてはっきりさせることなのだ。

 憲法前文に示す愚劣で惨めな ‘宣言’ であってはならないのだ。