佐々木です、

私がタバコをやめてから12年経ちます。

やめられたのは、完全にアレン・カー氏の
「読むだけで絶対にやめられる 禁煙セラピー」
という本のお陰です。

「 読むだけで絶対にやめられる」なあんてフレーズは
ありがちと言えばありがちな言い回しなので
うさん臭く感じてしまう人も多いと思います。

でも、私自身が本当に読むだけでやめられたので、
個人的には嘘偽りのないタイトルだと断言できます。

ただ、何事にも向き不向きはあるもので
私がこの本を読むようにすすめた人の全員が全員、
禁煙に成功したというわけではないので念のため。

どんなに効果的なノウハウでも、成功率100パーセント
などということはないので当然だと思います。

で、

この本がなぜそれだけ成果を出せるのか、
ということを自分なりに考えてみました。

この本の最大のポイントは、

頑張って我慢して禁煙しろ、と言っているのではなく、
タバコって、本当にそこまでして吸う価値のあるものなの?
という問いかけをしてくるところです。

喫煙者の汚れきった肺のレントゲン写真を見せたり、
喫煙によって引き起こされる病気の恐ろしさを延々と語ったり…、

などの方法は意味がないどころか
逆に吸いたい気持ちを強化させる、
というようなことまで言っています。

彼は元ベビースモーカーだっただけあって、
喫煙者の心理をものすごくわかっています。

「タバコは恐ろしいよ。長生きできないよ」と
言われれば言われるほど、喫煙者は、
「別に長生きできなくたって、いーもんねー。
好きなタバコを吸ってオレは太く短く生きるんだ」

この気持ち、私もありました。

好きなことを我慢するくらいなら、
リスクを追ってでも充実した人生を送りたい、
という、今考えると理解に苦しむ理屈を
自分自身に言い聞かせていたんですねえ。

ここでアレンさんは、
「そもそもタバコを吸って、あなたほんとに嬉しいの?」
というテイストで語りかけてくるのです。

決して声高にタバコの危険性について説くのではなく、
ささやきかけるように
「タバコって、ほんとにそんなにおいしいの?」と。

このささやきに私は完全にやられたのだと思います。

「タバコがおいしいように感じるのは、宣伝による洗脳です」
と彼は言うのですが、私は私で彼に
「タバコなんておいしくもなければお金もなくなるし健康も害す。
なんかいいことあるの?」というささやきで逆の洗脳を受けたワケです。

これを脱・洗脳というのか、別の種類の洗脳による上書きというのかは
わかりませんが、この本を読み終えた途端に箱の中に数本残っていたタバコを
なんの躊躇もなくゴミ箱にポイと捨てて以来、1本も吸っていないのは事実です。

それまでの禁煙とは全く違っていました。

それまでの禁煙は、
「よーしこの最後の一本を吸ったらもう吸わないぞ。
よーく味わっておこう」

そして2、3日後、
「うーん、やっぱ禁煙あとのタバコはサイコー。
もう、くらくらするぐらいうまいっ。またそのうち禁煙しよう」

こんなことの繰り返しでした。

ところでところで。

私が本当に言いたいのは禁煙そのものの話ではなく、
人の行動を変える技術のことです。

コーチングの世界では、望ましくない行動を望ましい行動に
変えることを行動変容と言うそうですが、
アレン氏の禁煙の本には行動変容を起こさせるための仕掛けが
たっぷり入っているはずです。

ものすごく不思議なのは、私はあのとき特に「禁煙しなきゃなあ」
と強い思いがあって本を買ったわけではないということです。

正直言って、実質的な効果にはまったく期待していませんでした。

「禁煙セラピー?読むだけで絶対やめられる?ほんとかよ。
まあ、ためしに買ってみるか」
という程度の気持ちだったのです。

にもかかわらず、
残った数本を躊躇なくゴミ箱にポイとやっちゃうほど
行動が変容したのです。

これって、すごいことだと思いませんか?

そしてこの本には、我々教育に携わる者が喉から手が出るほど知りたいし
身につけたいスキルが埋まっているはずだと思いませんか?

別に私は出版社の回し者でもなければ、
この本をアフィリエイトしているわけでもありません。

しかーし!
タバコを吸っていようがいまいが、禁煙したかろうがしたくなかろうが
教育に携わっている人はぜひ「禁煙セラピー」を読み込んで研究してみるべき
だと思います。

子どものやる気に悩む親御さんも必見です。
いかに読者に共感し、行動変容に上手に導いているかを追ってみてください。
ちょっとした応用力は必要ですが、
ハンパな子育て雑誌の数倍、数十倍は役に立つはずです。

合い言葉は、
「禁煙してても、したくなくても、禁煙セラピー」で。
(あんまりうまくありませんが。笑)

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。


P.S.

彼は皮肉にも、肺癌で亡くなったそうです。
禁煙したのが遅過ぎたのかもしれません。
この事実を肯定的に受け止める人もいれば
否定的に受け取る人もいるそうです。

どう受け取ろうが、彼が実際に多くの人を救った事実に
変わりはありません。


P.P.S.

こちらにもアレン氏の「禁煙セラピー」について
熱く語っているサイトがあります。