子どもには優しいタッチ、大胆なタッチのきれいな色使いの絵本、
とついつい決めてかかりがちです。
わたしもエリック・カールの「はらぺこあおむし」に始まり、
以前もご紹介したいわむらかずおの「14ひきシリーズ」など
絵の美しさが魅力の絵本をよく見せてしまいます。
でも子どもには「絵」というのは案外思い込みかもしれません。
うちの娘のお気に入りは「よるのびょういん」
これはかなりしぶーい写真絵本です。
わたしが以前たまたまフリマで若いお兄さんから買ったもの。
たぶん彼は写真集感覚で持っていたようです。
買ったのはそれが谷川俊太郎さんの文章だったから。
そしてモノクロでぶれを利用した粗いコントラストの表紙に惹かれたからです。
以前学生時代には暗室でモノクロ写真を焼くことに夢中だった私。
今でも写真の美しい本には目を奪われてしまいます。
その美しさも企業のカレンダーのような美しさではなくて、
陰影やコントラストの独特なもの、色調の独特なもの。
この「よるのびょういん」は全体を通して、
夜という舞台のせいもあり、感度の高いフィルムで撮られた
粒子の粗い写真世界です。
*フィルムの感度、覚えていますか?
デジカメ時代にはいり忘れられていると思いますが、
フィルムには100、400、など感度がありましたね。
感度は値が高いほど暗い場所でも撮影可能になりますが、
その代わりに色の粒子のひとつひとつが大きく粗くなります。
急に盲腸になった男の子とその母、父や医療の人々をドキュメントふうに
描き出したすてきな作品です。
娘はこの本が大好きで今では内容を暗誦しているほど。
はじめは色のない絵本に戸惑いがあったようですが、
一度読んであげたらとりこになってしまったのです。
それから最近入手したのは「イエペはぼうしがだいすき」という本。
デンマークの保育園児イエペの日常と
彼がお気に入りの帽子にまつわるこれもドキュメント絵本。
外国の同世代の子どもの生活に興味があるためか、
こちらもお気に入りで最近のベッドタイムストーリーの上位です。
最後にご紹介するのは「わたしのろばベンジャミン」 。
これはわたしが学生のころ、つまり写真に夢中だった頃、
アンアンとかその手の女性誌の書評で見つけて取り寄せたもの。
モノクロですが、こちらはおそらく創作がはいった物語絵本です。
3歳くらいのスザンヌのうちにやってきたろばの赤ちゃんベンジャミン。
都会生活へのアンチテーゼとして地中海の島を舞台に紡がれた
ちいさなおはなしです。
どれも物語に大きな起伏はありませんが、
作者自身の物事、暮らし方、生き方についての洞察、
哲学、メッセージがさりげなく織り込まれている名作です![]()