ネタバレなし「映画刀剣乱舞 黎明」の感想というか燭台切光忠の話(なぜ) | 【逢結屋】いそべみゆきの歴史徒然

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和文化歴史コンシェルジュ 磯部深雪(いそべみゆき)のブログ。【逢結屋】お仕事情報・イベントや内覧会等のレポもあり。
ほぼ記憶を保っておくための備忘録になっています。


    

こんにちは、伊達政宗公大好き 女性目線で歴史を語らうことが大好き磯部深雪(いそべみゆき)です。

昨日公開の「映画刀剣乱舞 黎明」を観て色々思うところがあり、隅田公園(小梅水戸邸跡)に来てしまいました。
※聖地巡礼ではないです、隅田公園は映画に出ませんしまったく関係ないです


映画を始め創作物の力って本当に凄い。
元の史実があったとしてもそこから新たに物語が育まれ、それがまた新たな歴史を編んでゆく。それに影響されて映画には一切登場しない御刀のことまで想いを馳せてしまい、結果今私は本来の予定とは少し離れた場所まで足を運んでいます。

お陰様で初めて牛島神社にお参りできました。
気分が良くて調子に乗って昼間から一ノ蔵の無鑑査を賞味しているので、言葉も纏まらずつるつると滑り出てしまってすみません。


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【隅田公園(水戸徳川家小梅邸跡)】
川を跨ぐ形で川沿いに延びる隅田公園の墨田区側の敷地は、かつて「徳川御三家」の水戸徳川家の江戸下屋敷・小梅邸があった場所です。


【刀剣 燭台切光忠】
1923年(大正12年)9月1日の関東大震災で小梅邸は焼け落ちてしまいます。

その際に敷地内の蔵で保管されていた水戸徳川家伝来の160余口の刀剣と共に「燭台切光忠」という御刀も焼刃してしまうのです。

燭台切光忠を打った「刀匠 光忠」は備前国の刀工長船派の祖で、詳細は不明ですが13世紀中頃に活躍したとされています。
光忠の作品は刃文や地鉄(じがね)が華やかであるのが特徴で、歴史上の偉人達に愛され所持されているエピソードが数多く語られ、現在その多くが国宝・重要文化財となっています。

その内の一振の「光忠」がいつの時か織田信長のコレクションの一部となり、豊臣秀吉の手に渡った後に伊達政宗に下賜されたとか。

※伊達成実の『伊達日記』によると「1596年(慶長元年)豊臣秀吉の伏見城築城の折に伊達政宗が御座船を献上し喜んだ秀吉から光忠を下賜され、翌日政宗が拝領した刀を差していると秀吉が小姓に命じて追いかけさせたが結局下賜した」という記述が遺されている。(wikiより)

その後、政宗が粗相をした家臣をこの光忠で斬り捨てた際に銅の燭台も併せて切ってしまったことが「燭台切光忠」という名の由来とされています。

私は元々政宗公に関する書状や所縁の物、土地が好きで色々と調べており、政宗公所有とされる名のある御刀についてもリストアップしていました。
その中でこの燭台切光忠は関東大震災で「焼失」してしまっていると思っていたところ、2015年4月30日に水戸徳川ミュージアムで「焼刃しているが刀身は保存されている」との発表を耳にしたのです。

それは2015年1月にリリースされたゲーム「刀剣乱舞オンライン」に伊達家所縁の御刀として登場している燭台切光忠の行方や現状はどうなっているのだろうかと、プレイヤーからの問い合わせが多数あり徳川ミュージアム側が確認してくださった結果でした。

それから間もなく実際に拝見できる機会を設けてくださったことで、沢山の審神者(プレイヤー)達が水戸に足を運ぶことに。
人の流れができたことで現代の名匠による焼刃前の再現刀が製作されたり、JRさんによる燭台切光忠の名を冠した特急でのツアーが行われたりと各方面への大きな影響が出てきます。
そして元の刀身の評価やその影響力を鑑み、焼刃の状態でありながらも日本刀として刀剣登録されることになったのです。2019年4月20日のことでした。


現在も水戸徳川家現御当主 斉正様の所有として徳川ミュージアムで管理されており、他の罹災刀も含めた保存に関してもクラウドファンディングなどが行われ多くの方々に見守られています。

このように創作物が現実に影響を及ぼす力というのは計り知れないなと実感します。

「映画刀剣乱舞 黎明」に燭台切光忠は登場しませんが、世界観を手繰っている内に私達がリアルタイムに経験しあの時受けた衝撃さえもいつか物語に紡がれていくのだろうなと気付いた時に愕然として思わず墓参りのように小梅邸へ向かってしまったのでした。おわり。

以下は映画鑑賞前後の自分の呟き。







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過去のブログで燭台切光忠の刀剣登録についての話を書いていました。私は本当にずっと同じことしか言ってないな… 


【2019年2月17日「快速 燭台切光忠」の様子】


【映画刀剣乱舞 黎明】 

まだ“刀剣乱舞”を知らない人にも優しい作品です。

これからゲームを始めようかなと迷ってる人、噂は聞いてるけどどんなものかなと気になってる人はこの映画から入ってみるのもよいかと。皆審神者になろうよ!


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