鉄の爪エリックのこと、書こうか迷ったが……書きます。私の推測を一部、含む「持論」ですけどね | 生きているだけで十分 宍倉清則のいまのキモチ

鉄の爪エリックのこと、書こうか迷ったが……書きます。私の推測を一部、含む「持論」ですけどね

69年12・19ロス vs馬場 インター 1本目、エリックのほとんど当たってもいない不細工な低空ドロップキック2連発でフォール。修行中のゲスト解説・グレート小鹿は「あの巨体で飛ぶんですからね」。そう言うしかないわな。しかし、なんで、あんな下手くそなドロップキックをわざわざやるのだろう。それが不思議だった。

 

2本目、馬場がロープに飛ばし、開発したばかりのフライングネックブリーカーを狙ったと思われるが、エリックが嫌がる。仕方なく、同じ技を2発目。強引にフォール。

 

つまり、エリックは後ろ受け身がとれない。おそらく、後頭部を打つのが極度に怖いのだろう。

 

75年7・19長野スケートセンター vs鶴田 1本目、馬場と同じ状況。鶴田がロープの反動を利して、鶴田の場合はボディーアタックを狙うが、エリックはこれも嫌がる。仕方なく、強引に2発目。これでフォール。こんな技で決まることじたいが驚き。コーナーからではないんですよ。

 

少年の私は思いましたよ。なんで、こんな技で決まるのだろう? まったくダメージを与えているとは思えないのに。やっぱり、同級生のみんなが言うようにプロレスは八百長なのかなって。

 

でも、これでいいのだ。だって、エリック王国なのだから。鉄の爪王国なのだから。これで押し通してしまう。

 

前田が「あの技はやめてくれ」というホーガンをチキンと言ったが、その通り。でも、それでいいのだ。実際、ホーガンは押し通しているのだから。

 

エリック、ホーガンのようなクラスになると、受け身ひとつとれなくてもいいのです。押し通してしまえばいい。それが通用する大物であり、そういう時代。

 

ブルーザーは子どものころ、すごく強く見えた。理由は簡単。まったく技を受けない。自分が攻撃しているだけだから、そりゃあ、強く見えるよね。

 

そういう時代を経て、革命を起こしたのは誰か?

 

69年11月に若きNWA世界ヘビー級王者として初来日する、そうです、ドリー・ファンク・ジュニアです。だから、ドリーは偉大です。

 

ドリーはどんな大技もきっちりと受け、自分もありとあらゆる大技を使った。

 

当たり前だって? とんでもない。このときはすごい「衝撃」なのです。西村修がよく力説するが、ドリーは本当の革命家です。

 

極論すれば、いま、みんなが自由なプロレスをできるのは(西村風に言えば)ドリーさんのお陰なのです。