ウォーキングを始め、私の心は少し余裕が生まれてきた。
すると、娘の状態も少し良くなってきたんだ。
表情がね、明らかに明るくなったんだ。
私の気持ちと比例するように。
でもね、それでも不安で押しつぶされそうになることは何度もあった。
特に朝。
目が覚めたとき、やっぱり「今日が怖い」って恐怖を感じてしまうんだ。
「今日も食べないんだろうな…」とか。
「心が前向きになったのなら、なぜそれが食事量に反映されないのだろう…」とかね。
娘は言葉では前向きなことを言うのだが、どうしても食事量は好転しなかったんだ。
そりゃあそうだ。
娘には「あなたの好きにして良いよ。食べない選択をしたのならお母さんはそれを認めるよ。」なんて言っていたけれど、本当の気持ちは「もっと食べて欲しい…。」なんだから。
私の本当の感情が今の現実を創り出すのだから、娘が「食べない」という現実が目の前に繰り広げられるのは当然だ。
娘はね、もう、誰が見たって拒食症の女の子だってわかるくらいに痩せてしまったんだ。
怖かった。
本当に怖かった。
娘は相変わらずひどい便秘で、3日ごとに浣腸をしていた。
娘のお尻はさ、以前はぷりんぷりんでまん丸で、そりゃあ、とてつもなく可愛いお尻だったんだ。
それがさ、もうお尻にお肉なんて全くないわけ。
お尻に丸みなんて皆無なの。
へこんでいるの。お尻なのに。
あれは本当に悲しかったな…。
毎回涙をこらえながら浣腸していたな…。
目の周りもくぼんじゃってさ、ふわふわだったホッペだってへこんじゃってさ…。
気持ちは明るくなってきたから笑うことが多くなったんだけど、笑うと歯ぐきがむき出しになっちゃてさ…。
正直ね…正直…
娘の笑顔を見るのが怖かった…。
痛々しくて辛かった…。
だから、私は娘の姿をしっかりと見てあげることができなくなっちゃったんだ。
娘の姿が目に入らないように、娘に気づかれないように目を背けていたんだ。
だってさ、娘の細くなってしまった姿を見ると心臓がギューってつかまれたみたいに苦しくなるんだもん。
だから、見たくなかったんだ。
自分が苦しくならないようにね。
どんなあなたも大好きで愛しているよって毎日抱きしめているのにさ。
心と発する言葉がチグハグなんだ。
なんで私は娘の全てを受け入れてあげられないんだろう…って…苦しかったな。
悲しかったな。
自分の娘なのになんでなんだろう…私ってダメ人間だな…。
そう感じることが多かったんだ。
そんな私の在り方、娘は無意識に受け取っちゃうよね。
「お母さんは私のせいで苦しんでいる。悲しんでいる。」って、自分を責めていたんだろうな。
だから、娘は食べることが怖いままだったんだね。