娘の「退院する!」という力強い宣言を聴き、私の覚悟も決まった。
自宅療養は難しい病気であること。
すぐにぶり返して病院に戻ってきてしまう可能性が高い病気であること。
私は、全てを承知のうえ「このまま退院をします!」とお医者様に宣言したんだ。
だって、100%無理だという訳ではないのだから。
今の娘だったら、絶対に摂食障害を克服、完治できるって信じていたから。
お医者様は、それ以上、精神科への転科のお話しはせず、退院に向けてのお話しをしてくださった。
退院することは認めるので、精神科の外来受診は必ずするように言われた。
ただ、精神科の受診を希望する方はとても多く、順番待ちをしている状態とのこと。
緊急性の高い子どもから優先的に予約が取れるそうなので、恐らく娘は予約が取れるとは思うが、確約はできないとのことだった。
そんなにもたくさんの子どもが心を痛めているのか…と、私はそのとき初めて知った。
お医者様はとにかく、すぐに受付で精神科の予約申込みをしておいて下さい、と教えてくださった。
そのとき私は、もし、こちらの病院で精神科の予約が取れなかったらどうしよう…と、とても不安だったことを覚えている。
面談を終えた私たちは、病室で抱き合って泣いた。
よく頑張ったね、ありがとうって。
あの時は、本当に本当に幸せだったな。
やっと私たちの頑張りが認められたって。
でもね、頑張って、頑張って手に入れた幸せって、すごく、すごくもろかったんだよね。
今想うとね。
そんなことを知らない私たちは、退院を認められたことで、会話が180度変わったんだ。
今までは、二人とも未来のことが話せなかった。
だって、この先どうなるかわからなかったから…。
でも、退院が決まったのだから、未来の楽しい話しをしても良くなったのだ。
私たちは、退院したら何をしたいか、まず何を食べようか、どこにお出かけしようか、そんなキラキラした未来の話しをしたんだ。
楽しかったな。
私たちの未来は、もう、ここからキラキラ輝くだけだって信じていた。
信じていたんだ。
あの時は。
まさか、もっと辛い日々が待っているなんて、私は1ミリも疑っていなかったのだから。