あるところに「フェラーリ君」と「軽トラ君」がいました。
二人はとても仲が良かったのですが、
軽トラ君はいつも落ち込んでいました。
なぜなら、いつもレース大会で勝てないからです。
いつも優勝砲補であるフェラーリ君にアドバイスをもらって、コーチもしてもらって、言われたことを全て実行しているし、本当に全力を尽くしているのですが、毎回「ビリケツ」になってしまいます。
「自分はダメなんだ」
と落ち込む軽トラ君を、
「そんな事はないよ!きっと軽トラ君もレースで優勝できるようになるよ!」
とフェラーリ君はいつも励ましていました。
それで勇気づけられて持ち直すのですが、軽トラ君はどれだけ努力して努力して頑張っても、毎回レースでは同じような結果になってしまって、ポルシェ君やマクラーレン君、ランボルギーニ君たちにも全く歯がたたないのです。
自分は頑張っているはずなのになぜなんだ、、、。
軽トラ君はもう自分には生きている価値がないんじゃないかと落ち込んでいました。
するとある日、夢の中に「トラック神」が出てきました。
「お主、競技を間違っとるのう。」
「え?レースのことですか?」
「そうじゃ。次は引越し競争をしてみるが良いぞ」
と、言われたところで目を覚ましました。
「ねえ。引越し競争やってみない?」
と早速フェラーリ君に提案してみました。
それは引越し先の遠くの家まで引越しの荷物を運ぶ競技でした。
フェラーリ君も、ポルシェ君、マクラーレン君、ランボルギーニ君も
みんなスピードは速いのですが、
ちょっとしか荷物を積むことができずに、何往復もしているうちにみみんな途中でガス欠になって動くことができなくなりました。
しかし、軽トラ君は、1回で全ての荷物を積むことができて、
燃費もいいので引越し先まで楽々で運ぶことができたのです。
フェラーリ君は「軽トラ君!すごいよ!!」と絶賛でしたが、
軽トラ君はただゆっくり走っただけなので褒められるようなことをしたつもりはありませんでした。
「いつものレースの方が頑張っているのにな。」とちょっと納得いかない気持ちにもなりましたが、自分ができることを褒められると嬉しくなってきました。
レースで勝てるのはレースに向いているエンジンを持っている車だけですよね。
引っ越しを効率よくできるのはそれに適した形状の車だけですよね。
車だけじゃなく、僕たち人間も、
自分の性能に合ったことをしないと自分の良さは発揮することはできないものです。
ひょっとして、、、
エンジン小さいのにレースに出てるようなことしてませんか?
そして、うまく出来ない自分を責めちゃったりしていませんか??
軽トラの自分がフェラーリのようにスピード出ないようなことで落ち込んでいませんか?
フェラーリの自分が軽トラのように引っ越し作業できないようなことで落ち込んでいませんか?
「自分の性能に合わないことはできるわきゃない」んだから。
それで自分を責めてちゃダメだよね。
自分の性能を受け入れて、そんな自分に降参して、自分という唯一無二の存在に感謝して、ちゃんと自分の性能に合ったことやってあげましょうね。
軽トラ君はフェラーリ君を尊敬しながらも、
自分の性能、お役目に誇りを持って今日も笑顔で自分の道を進んでいるのでした。
めでたしめでたし。
椎原 崇
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