茨城県による高卒採用の一人一社制の見直し | COH社労士事務所のブログ

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ご覧いただき、ありがとうございます!

 

東京都葛飾区にある、

中小企業むけ採用相談・採用支援などをおこなっております

COH社労士事務所 人事労務LABO 代表の石黒です。

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

今回は採用のことについて。

 

先日、一部の新聞で報道がありましたが、

「高卒採用」に関して、

関東で初めて茨城県が「1人1社制ルール」を改正し、

9月の1次応募から2社まで併願を可能にすることが発表されました。

 

そもそも高卒採用に馴染みのない方については、

「1人1社制ルール」って何?という話だと思いますので、

少々、解説してみたいと思います。

 

年齢的に未成年である高校生の就活に関しては、

学業優先、学生さん達の保護などを目的として、

ハローワークがすべての求人を一括管理し、

応募も各自でと言う形ではなく、

在籍する学校を通じて応募するという形式になっているため、

 

大学の新卒採用と異なり、

民間企業が提供するリクナビやマイナビに代表されるような

就活サイトを通じての自己応募ができなくなっているなど、

高卒採用独自のルールが長きにわたり慣例として、

おこなわれてきました。

 

↓高卒採用のルールについてはこちらもご覧ください。

 

この独自のルールの1つとして、

「1人1社制」というものが存在しています。

 

高卒採用は求人の申込開始、企業の学校訪問・見学受入、

そして応募開始、選考(面接)開始のそれぞれ時期を、

学校関係者・経済団体・行政が詳細を決めて、

毎年、発表されるような形になっています。(引用:厚生労働省ホームページより)

 

 

例えば令和7年度のスケジュールで言うと、

9月5日(沖縄は8月30日)から一斉に応募可能となりますが、

 

この応募開始時において、

1人の学生さんが応募できる会社を1社に限定していることを

高卒採用の「1人1社制ルール」と呼んでいます。

 

これまでも賛否両論あるところで、

1社ずつ着実に落ち着いて応募できるという意見もあれば、

選択肢が少なくてかわいそうだとする意見もありました。

 

なお、この制限はあくまで一定期間となっており、

都道府県において取り決めをおこない、

9月の一次応募は「1人1社制ルール」で単願に限定をし、

 

万が一、落選してしまって10月以降も

就活を継続せざるを得ない学生さん達においては、

10月以降から2社まで同時に併願OKとするようなケースが多くなっています。

(各地域のルールは、各都道府県のハローワークのホームページ等をご参照下さい)

 

しかし求人数が例えば「1」のみとしている企業ですと、

多くの場合には一次応募で採用が内定して求人を締め切りますので、

そうなると1次応募は他社を受けていて残念ながら落選し、

10月以降に応募したいと思っても、

現実的に不可能といったケースも散見されました。

 

また、それ以外にも実は離職率が思ったより高く、

就職後3年以内の離職率は、

令和2年3月卒の高卒就職者は37%(前年比1.1ポイント増)となっており、

大卒就職者の32.3%(同0.8ポイント増)を上回っている状況であり、

高卒採用において応募の選択肢が限られていることの

弊害の一つとも言われています。(引用:厚生労働省ホームページより)

 

 

このような現状があり、

今回、関東で初めて茨城県が、

2024年度からこの一次応募の段階から、

1社ではなく即2社の併願からスタートして構わないと言うことで、

改正をおこなうことにしたようです。

 

令和6年4月1日現在で、

この「1人1社制」を改正して併願を可能としているのは、

大阪、和歌山、秋田、沖縄となっており、

茨城が5つめの事例となります。

 

 

高校生の就活中の皆さんにとっては、

とても良い話のように感じます。

 

今現在の主流が1人1社制であるため、

お目当ての会社が2つあったとしても、

一次応募の段階では、

どちらか1つしか応募できなかったなかで、

 

改正によって同時に志望度が高い会社へ応募ができますし、

2社を比較検討したうえで、

内定承諾をすることも可能になりますから、

ご自身にとってより精度の高い

就職活動ができるようになるのではないかと思います。

 

企業側には厳しい側面も

 

 

この「1人1社制ルール」の改正は、

企業側にとってはメリット・デメリットの双方が考えられます。

 

メリットとしては、

やはり応募者数の増加が期待できると言う点にあるように思います。

シンプルに考えれば選考の母集団が増えると予想されますので、

場合によっては想定以上の応募が来て、

自社に合った人材が採用できました!と言うケースが

出てくることと思います。

 

しかし私個人としては、

あくまで企業側と言う視点からだけで言いますと、

特に中小企業に対しての

デメリットも大きいように思います。

 

現在の「1人1社制ルール」においては、

たとえ応募数が少なかったとしても、

企業側は内定通知を出すことさえできれば、

ほぼ確実に承諾してもらうことができますので、

 

仮に中小企業で応募数が少なくても、

採用には繋げやすいとも言えますから、

大学生の新卒採用よりも、

効率的に採用内定・承諾に至るケースが多く、

この点はとても大きなメリットとなっていました。

 

しかし、これが今度は他社競合が現れるわけですから、

たとえ内定通知を出したからと言っても、

大学生と同じように「辞退」が出てくる可能性が高くなります。

 

大企業や有名企業に比べて、

そもそも応募者が少ないと予想される中小企業において、

辞退のリスクが出てくることは、

かなり頭を悩ませる問題にもなり得ると思いますし、

 

これまで以上に採用広報が大切になると共に、

学生さんやその在籍校とのコミュニケーションが

ものすごく重要になってきますので、

 

例えば高卒採用の専用サイトやページを作成したり、

各学校へ積極的に訪問や接触をするなかで、

学校とのコミュニケーションを深堀りしたりと、

 

これまで以上に求められる

ハードルも高くなることが予想されますので、

それに伴って採用コストの増加なども

確実に見込まれてくるものと思います。

 

学生さんのことを考えれば、

素晴らしい改正であることは間違いないと思いますが、

企業の負担などを考えると苦しい側面もあるなど、

色々な思いが交錯する改正であるようにも思います。

 

今のところ関東においては、

茨城県以外の今後の動向は不明ですが、

このような動きは引き続き増えてくると予想されます。

何はともあれ学生さん・企業の双方にとって、

有益な改正になることを望みたいところですね。

 

なお、最後になりますが、

弊所では高卒採用に関しての支援もおこなっています。

 

特に初めて高卒採用に取り組みたいという企業様においては、

そもそも独自の採用ルールがわからないという段階から

スタートすると非効率で大変な作業となってしまいますので、

 

ハローワークと学校が管理する独特な運用を把握したうえで、

採用広報や対策を取る必要があります。

まずはこの独特なルールを効率的に情報収集してもらい、

そしてノウハウを活用して取り組んでいただくことで、

高卒採用の質が各段に高まります。

 

令和7年度は6月1日から

ハローワークでの求人受付が開始されますが、

諸々の準備のことを逆算しますと、

遅くとも4月中には動き出しておくことをお勧め致します。

(本来は年明けから段階的な準備が理想的ではあります)

 

もしも今年、初めて高卒採用にチャレンジしたいという企業様や、

これまでなかなか上手くいってない企業様がいらっしゃいましたら、

弊所の方で採用支援をおこなっておりますので、

お気軽にお問合せ下さい。

 

弊所の採用支援は「中小企業特化」をキーワードにしており、

低料金で全体支援をおこなわせていただいております。

 

 

初回の相談は無料で対応させていただきますので、

ご安心いただければと思います。

 

今回もブログをご覧いただき、誠にありがとうございました!