明日は桃の節句ですね。みなさんは桃酒を召し上がりますか。
桃には古くから魔よけになる力が宿るといわれ、桃で作ったお酒にも力があるのでしょうね。
こんな話があります。
昔、あるところに美しい娘がいました。年頃の娘のもとへ、毎晩、きれいな若者が通ってきます。
二人は話をしたり、笑いあったりしていました。
娘の相手がどういう男なのかと思った母親が、娘に男の素性を尋ねますが、娘は何も知りません。
母親は娘に、今夜その男が来たら、男の着物のすそに糸を通した針を刺せ、と教えます。
娘は男に気づかれないように、母親の言うとおりにしました。
男は真夜中に帰っていきました。
翌朝、娘の家から糸がずっと続いて伸びていました。母親がそのあとをたどっていくと、大きな洞穴の前にたどり着きました。
中から何かの話し声が聞こえてきます。母親が耳をすませていると、お前の体に針の毒が回ったから
もう長いことはないだろう、という声が聞こえます。
それに答えて、おれはもうすぐ死ぬかもしれないが、娘の腹にはおれの子が宿っているという声が聞こえます。
すると、最初の声が、人間は賢いから、桃の節句に桃酒を飲めば、子はおりてしまうことを知っているだろうと言います。
それを聞いた母親は家に急いで戻り、娘に桃酒を飲ませました。
娘の腹から蛇の子がたくさんおりて、娘は助かりました。
それで、桃の節句には桃酒を飲んで、魔よけにするのだそうです。