A型袋小路

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…俺の言いたい事を言うのに誰の同意やら支持が必要なんだ?…と言うスタンスのブログ。

流行りにゃ興味ないね。
年は食ったが、俺はパンクロッカーだからさ。

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ナポリタン…。イタリア料理のサルサ・ディ・ナポリタンと言うソースの事ではない。
戦後、横浜に進駐したアメリカ兵が食っていた戦闘糧食の缶詰め…トマトソースにどっぷり漬かったパスタを日本人コックが改良・考案した料理の事である。

昭和20年代。

総力戦に疲弊しきった日本に進駐したダグラス・マッカーサー率いる米軍他連合軍は、当然の事ながら自弁で進駐して来た。
進駐軍は日本人の執念深さを身にしみて知っていたから、食糧難の日本人を懐柔すべく余剰物資を放出した。その中には、そのトマトソースのパスタ缶もあった。
それとは別に、簡易トマトソースとも言うべきケチャップがあった。他に当時の米兵が毛嫌いしたSPAMもあれば、ハム、チーズ、要するに当時の日本人憧れの動物タンパク質の配給が始まったのである。…ちなみにSPAMの名誉のために言っておくが、SPAMは決して不味くない。が、来る日も来る日も続く苦しい戦闘の食事に毎日これを食わされてみたまえ。諸君はドブに放り込んでやりたくならぬだろうか。

それはさて置き…このトマトソースパスタ缶には「Neapolitan」と印刷されてあった。…なるほど。これはナポリタンと言うのか…。
で、フランスで修行経験のある日本人シェフが食うてみた。ふむ…。なるほど。米兵は具無しのトマトパスタを食わされておるか…。日本人の感覚から言えば、うどんも蕎麦も、できれば具を入れればより贅沢である。ハムかベーコンに玉ねぎ。あればキノコの食感も合う。

そしてスパゲティ・ナポリタンとして進駐軍の上下問わずに愛されたのが、横浜の老舗、ホテル・ニューグランドのナポリタンなのである。
トマトケチャップではなくトマトピューレを使ったスパゲティ・ディ・ナポリタンはイタリア系アメリカ兵に絶賛された。



で、俺が小学生だった昭和40年代。
街には米軍のMPがジープで徘徊し、学校の給食では米食が否定され米国の余剰小麦粉で作ったコッペパンや“ソフト麺”と言う不味いうどん擬き、砂糖をまぶした揚げパンなどが出された。米国本土で余剰物資だった薄力粉を、その当時まで日本の子供は食わされていた。…今の小学生は給食にお米のご飯を頂く。私はある意味、良いことだと思っている。
それで、懐古趣味から当時の給食メニューを食わせる店があって、こうしたものを出すらしい。



…当時揚げパンは時々供されたが、既に復興期と言うより高度成長期、俺たちは甘い主食に不満であり、カード目的に仮面ライダースナックを買ってスナックは路傍に捨てる者が多かった。アメリカ産のクラッカージャックを筆頭に、中途半端に甘い菓子は子供達には不評であった。戦中を生きた大人たちは、それを理解できなかった。

…そもそも、こう言う経緯の料理である。
これが庶民的なものとして知られたのは、冒頭の写真のようなトマトケチャップを使ったナポリタンが紹介されてからである。発祥は横浜は野毛のセンターグリルさんと言う洋食店である。
当時、スパゲティそのものもさることながら、ホテル・ニューグランドで使っていたようなトマトピューレは輸入品の高級食材であった。これを使った料理はとても日本の一般庶民が日常的に食える値段ではなく、飽くまでも米軍向けであった。ナポリタンと言うよりはイタリア料理のポモドーロに近いパスタである。ニューグランドの営業再開とほぼ同時期に開業した野毛のセンターグリルでは、米軍の持ち込んだトマトケチャップを使って焼きうどん風にこしらえたものを安価に出して、庶民の好評を得た。2.2mmの太めのスパゲティパスタをわざと茹で置きにして、うどん風のもちもち感を出した。以後、このスタイルが日本では受け入れられ、調理も簡便なため喫茶店や学食、家庭の惣菜として浸透して行った。やがて米軍製のパスタ製造機が輸入され、国産のスパゲティも出回った。アメリカ本土でだぶついた小麦粉を消費させるためGHQがやった米食否定・粉モン奨励政策は、こうして日本人の食卓の欧米化を推し進めたのであった。

…その後、トルーマン大統領と仲違いしたマッカーサー指令は解任され、1952年にGHQは解散、日本は連合国側の承認を得て国連に加盟、朝鮮戦争の特需を経て奇跡的な復興と躍進を遂げた。
だが、食い物の記憶と言うのは…特に美味いものを食った記憶は長く残るものである。俺もコンビニで買ってきたのびのびもちもちのナポリタンを食いながらこれを書いている。
諸君。のびのびだらだらこそが日本のナポリタンの正当なスタイルなのである。これがもしアルデンテなら、俺は一晩放置して改めてチンして食うだろう。まぁ、当時の給食みたいに言い訳程度に、赤ウインナーや玉ねぎ、ピーマンの具でなく、ソーセージの斜め切り他具が豊富なのはいささか遺憾ではあるが…。