管理費等の債権放棄 | 城北マンション管理士事務所

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当事務所は、首都圏の分譲マンションにおいて、皆様の大切な住居・資産であるマンションの維持保全計画をご提案し、快適な住環境を維持できるよう、管理組合様と一緒に取り組んで参ります。


最近、競売で落札した不動産業者が、


滞納管理費等や遅延損害金の支払いを拒否したり、大幅な減額を要求


してきて、困っているとの相談が多くなってきました。



その理由は、「前区分所有者に対する管理組合の督促業務の怠慢」ということらしいです。

もう、言いがかりでしかありません。


この場合、「債権の放棄」については、理事長や理事会の判断のみではダメなことは当然ながら、総会における普通決議は勿論、特別決議であってもダメ。

民法第251条により、滞納管理費等の債権を一部でも放棄するには、組合員全員の同意が必要となります。この場合、一人でも反対者がいれば、当然にその放棄はできないことになります。


「じゃあ、どうしたらいいの?」


理事長にそう訊かれるのが、一番の悩みの種です。



教科書的な回答は、「法的措置を講じて債務名義を取得して回収する」と言うことなのでしょうが、訴訟に要する費用対効果の問題も含めて、仮に勝訴しても確実に回収できる確証はありません。


従って、(特に債権が小額な場合など)他の区分所有者には、回収努力の経過などを丁寧に説明し、費用対効果等の事由から、やむを得ず、債権の一部放棄による損金処理を行うことを総会に提案することが現実的(実際に他の管理組合で行われている方法)でしょう。


とは言え、


一部の区分所有者を特別に優遇するのは不公平なので、相手の脅しに屈せず、毅然とした態度で全額回収するまでは諦めないか、


全額でないとしても現金を回収する現実的な対応を選択するのか、


最終決断は、区分所有者(特に管理者としての理事長)の判断次第ということになりますね。




兎に角、真面目に管理費等を納入した区分所有者が損をするような結果となることは避けたいものです。


佐々木