にほんブログ村 健康ブログ 歯磨き・歯の健康へ左矢印左矢印左矢印左矢印左矢印
にほんブログ村左矢印左矢印左矢印左矢印左矢印
歯科医ランキング

My Blogにお越し頂きありがとうございます。
お手数ですが、上のバナー2箇所を押して頂けると大変嬉しいです。


コロナ第2波でも死亡率低下から見える2つの事実と、あるべき対策


新型コロナ感染陽性者の急増で「第2波到来」といわれている。新聞やテレビなどメディアが感染者数を毎日センセーショナルに報道する一方で、重症者数や死亡者数は4~5月ごろとは様変わりの低位な水準にとどまっている。SNSや各種のネット媒体では、感染症の専門家から評論家や素人筋まで巻き込んで、感染対策優先の主張と経済活動回復優先を唱える主張が鋭く対立している。

 その対立の構図を大くくりにまとめると、感染対策優先を唱える方々は、足元の感染者急増がタイムラグを伴いながら重症者や死亡者の増加を結果し、このままでは大変な事態になると警告する。一方、経済活動優先を説く方々は、重症者数や死亡者数が極めて低位に推移していることを一つの根拠に、感染防止策の強化が経済活動回復を妨げることのデメリットを強調している。

 そうした意見の対立を背景に、陽性者数の再急増にもかかわらず、人工呼吸器を装着する重症患者数や死亡者数が低位で推移している事実の解釈も大きく分かれている。経済優先論者は「ウイルスの変異による弱毒化の可能性」「日本人の自然免疫対応強化の可能性」「PCR検査対象者拡大による軽症・無症状の陽性者の増加(若手・中堅年齢層の陽性者増加)」などをあげ、感染者数の増加のみに目を奪われるべきではないと主張している。

 反対に、感染対策優先論者は、弱毒化説や自然免疫強化説などは科学的に検証できる根拠がなく(特に感染症の専門家の多くはそのように指摘している)、重症者数や死亡者数はこれから増えるのだと(重症化・死亡の遅延説)危機感を強めている。

陽性者急増でも重症者・死亡者は低位のまま

 果たしてどちらが正しいのだろうか。筆者は金融系のエコノミストであり、もとより感染症は専門外であるが、この点について一般に公表されている限られたデータに基づいて、粗いながらも検証した結果を紹介しよう。

 結論から言うと、6月以降PCR検査の陽性者数の再急増にもかかわらず、重症者数、死亡者数とも極めて低位に推移している最大の要因は、検査対象者拡大の結果生じた陽性者の年齢分布の若年化、つまり年齢要因だ。

 弱毒化説も免疫対応の強化説も多くの感染症の専門家が言う通り、現段階では根拠がない。おそらく重症化・死亡の遅延説も主要因ではない。従って、求められる政策対応は、この点を考慮した年齢層別の対応と経済活動回復とのバランスである。


まず事実認識として、検査陽性者数と死亡者数の関係性を見てみよう。図表1は東京都が公表している日別の陽性者と死亡者の発生数を散布図にしたものだ。日別のデータはバラツキが大きいので、双方とも7日間移動平均値を取った。

 また、陽性が判明してから死亡するまでに当然タイムラグが生じる。計測したところ3週間前後のタイムラグがみられる。そこで死亡者数データに3週間のタイムラグを設定して各時点の陽性者数とマッチングしてある。

 図表1を見て明らかな通り、データが利用可能な3月4日から6月12日までの期間(青い分布)では、陽性者数(横軸)が増えると死亡者数(縦軸)も3週間遅れて増える極めて高い相関関係がある(決定係数0.79、最大値が1.0となる正の相関係数0.89)。分布の近似線の傾きは0.0432だ。これは100人の陽性者が発生すると、そのうち平均4.3人が3週間後に死亡していることを意味している。

 ところが6月上旬(図表では13日)を境に分布の形状が様変わりしている(緑の分布)。両者の関係性はやや低下しているが(決定係数0.492、相関係数0.702)、近似線の水準が低位でかつ傾きが著しく水平に近づき、傾きを示す係数は0.004になっている。これは100人の陽性者発生に対して3週間後に0.4人しか死亡していないことを示している。

 つまり東京都では陽性者数に対する死亡率が4~5月と6月以降では約10分の1に下がったのだ。この傾向が変わらなければ、東京都の一日の陽性者が仮に1000人になっても(7月26日時点の過去7日間平均は258人)、一日の死者数は4人にとどまる。

 陽性者数と重症者数の散布図は省略するが、やはり6月初頭を境に、分布の近似線が低い水準で水平化する明瞭な変化がみられる(陽性者数と重症者数のタイムラグは2週間前後だ)。もちろん、重症者数と死亡者数の間にも3月以降現在まで高い相関関係がある(タイムラグは1週間、決定係数0.753、相関係数0.868)。

増える若手・中堅年齢層の陽性者、減る重症者と死亡者

 それでは、なぜ6月から死亡する(あるいはその前段階として重症化する)人が、劇的に減ったのだろうか。この点で注目すべき事実は2つある。

 第1は、検査対象の拡大だ。当初東京都では(そして全国的にも)それまで一定日数の発熱など感染が懸念される症状がないとPCR検査の対象にされていなかった。しかし5月以降PCR検査のキャパシティー(受け入れ能力)が次第に拡大されるに伴い検査要件も緩和され、無症状や軽症状の者も積極的に検査対象にされるようになった。その結果、検査対象の年齢層が症状の明瞭な高齢者から症状の微弱な若手・中堅年齢層にまでシフトし、陽性判定となる者も若手・中堅年齢層の比率が急増したのだ。

 実は小池百合子都知事は、陽性者数が増加に転じた当初からこのことを記者会見でコメントしているのだが、データに基づいて納得できる形で説明していないため、「言い訳を言っているだけだろう」というイメージで受け止められてきたようだ。

 第2の事実は、比較的早期からいわれていた通り、新型コロナ感染で重症化、あるいは死亡する比率は年齢別に見ると高齢者層に著しく偏っていることだ。

 以上2つの事情を重ね合わせれば、重症化率、死亡率の劇的な低下は、検査対象者・陽性判定者の年齢分布が若年齢化したことが、少なくとも要因の一つとして働いていることは、感染症の専門家でなくても分かる。

 一例をあげると、感染症専門医の忽那賢志氏は自らのブログで、陽性者数の急増にもかかわらず重症者・死亡者が低位で推移している要因として、「弱毒化説」には科学的な根拠がないと退けた上で、次の3つをあげている(補注1)。

(1)第1波のときよりも軽症例を含めて診断されている(結果として若年・中堅年齢層の増加という年齢要因)、(2)ハイリスク患者が重症化するのはこれから(遅延仮説)、(3)治療法が確立してきている。

 問題はどの要因が重症化・死亡率の低下という変化にどの程度に寄与しているかなのだが、忽那氏はその検証まではされていないようだ。

 筆者が注目する「年齢要因」がどの程度働いているかを検証するためには、陽性者数の年齢層別内訳の時系列データと年齢層別の死亡率が必要だ。筆者が検索したところ「東京都オープンデータサイト」に基づいて作成された東京都の年齢階層別陽性者比率が、4月、5月、6月、7月(7月26日時点)と月ベースでNHKのサイトで公表されていた(補注2)。

 詳しくは末尾の補注2に記載したサイトをご覧いただきたいが、4~5月は60歳代が約30%を占めていたが、5~6月は高齢者比率が8.5%に低下し、若手・中堅年齢層がその分増えている。

 また年齢層別の陽性者数と死亡者数は全国ベースで7月22日までの累積ベースでのデータを利用した(補注3)。

 そこで、上記の月次の年齢階層別陽性者比率に各年齢層の死亡率を乗じれば、各月の死亡率(陽性者数に対する死亡者数の比率)が推計できる。この推計値が図表1で示した実際の計測値に近似すれば、6月以降の重症化・死亡比率の低下は年齢要因が主であると判断できるだろう。反対に目立った乖(かい)離が生じれば、それは年齢以外の要因が強く働いていることを意味する。


その結果を示したのが図表2である。陽性者の年齢要因のみで計算した死亡推計値は4~5月平均で4.8%、6~7月平均は1.2%となった(減少幅3.6%)。これは陽性判定から死亡まで3週間のタイムラグを設定して計測した実際の死亡率、4~5月5.4%、6~7月1.2%と非常に良く近似している。そして図表1で示した通り、6月13日以降の死亡率はさらに0.4%に低下しているのだ。

 このように考えると、6月以降の死亡率低下の最大の要因は検査対象の拡大によって生じた陽性者年齢の若年化と判断してほぼ間違いなかろう。そもそも科学的に検証ができていない「ウイルス弱毒化説」や「免疫強化説」は出る幕がない。

 それ以外の要因で可能性があるのは、高齢者層の行動変容、つまり感染不安で外出を避け、自宅にこもる高齢者が増えたため、高齢者の感染も減った可能性がある。また前掲の忽那氏も語る「治療方法改善説」と「重症化・死亡までのタイムラグ延長説」だろうが、主たる要因ではないと言えるだろう。

年齢階層別の対応こそ合理的

 そうなると私たちが行うべき対応は、一律の活動自粛でもなければ、ましてや都市封鎖でもない。年齢階層別の対応こそが合理的だと言える。具体的には重症化・死亡する確率の高い70歳以上の高齢者層は自宅に閉じこもり、高齢者の養護施設などでは外部との出入りを厳しく管理・規制して感染から保護する必要がある。

 一方、若手・中堅年齢層は、外出時にはマスクを着用し、いわゆる「3密」をできるだけ回避するような防御をしながらも、平常に近い経済活動や教育・学習、スポーツ活動に復帰できる。もし症状が出て検査で陽性と判定された場合のみ、症状に合わせた医師の指示に従って自宅、施設、病院などで隔離・待機すれば良いということになる。

 ただし医療現場の医師などが指摘するように、重症者はあまり増えなくても、入院治療を要する中症者が増加すれば、医療サービスが逼迫(ひっぱく)し、新型コロナ以外の医療サービスの供給も滞る危険がある。このことは都道府県単位で注意と準備が必要だ。あとは政府が研究開発を支援しながら治療薬やワクチン開発・実用化を待つだけだ。

 メディアには日々の感染者数のみを強調する一面的な報道姿勢を改め、重症者数や死亡者数の推移にも注意を向ける多面的な報道を望むが、期待はしていない。

最後にもう一点、極端な経済優先論者から、このまま感染防止優先で経済活動を抑制すると「失業率はピーク時に6.0%~8.4%に到達して、累計自殺者数は約14万人~27万人増加する可能性」という主張がなされている(補注4)。こうしたシナリオも前提の設定次第なのだが、ひどく誇張されていると筆者は思う。

 失業率と自殺者数(実は男性自殺者数)との間には確かに長期にわたって高い相関関係がある。筆者が1970年から2017年の年次の長期データに基づいて計測した結果では、失業率が1.0%上がると男性自殺者は10万人当たり年間4.8人増える。人口の半分は男性なので日本全体では年間3000人自殺者が増える(女性自殺者数の変化は失業率とほぼ無関係だ)。

 従って、失業率が昨年平均の2%台から戦後最高だった2000年代初頭の5%台まで3%ポイント上昇すると自殺者は年間約9000人増える推計となる。そんな不況が仮に10年続くような極端な想定をしても、自殺者の増加累計で9万人だ。10万人を大きく越える自殺者の増加は、信じられないほどの悲観的な想定の下でしか成り立たない推計だ。

 私たちが新型コロナの感染終息と経済活動の回復という不確実性を伴う難しいトレードオフの上にいることは確かなことであり、こうした状況においては、データに基づく合理的な判断と中庸のバランスこそが肝心だと言えるだろう。


PVアクセスランキング にほんブログ村