Dコース「夏のショートストーリーズ」ねたばれ感想 | akiraのブログ

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大阪在住の一般人です
主に舞台観劇感想やら、おたくな日記を書いていく・・・・・予定
多分半分以上はお気に入り劇団(AND ENDLESS)のお話しになるかと

6番シードxバンタクムラスコラボ公演「夏のショートストーリーズ」Dコース、ねたばれ感想です


■「マリッジディープブルー」 脚本演出:細川
細川さんの完全新作で、瞬さんの主演作品!!
普段ハードボイルドとか重い系統の多いほっそん作品の中で珍しい
ちょっとライトなアメリカンコメディドラマのような演出とおしゃれな音楽



バーで語り合う二人の男
オスカーは2年以上片思いしてた女優のアニーに婚約者が居た事を知り、
自分も他の女と結婚する!と、友達レノに相談していた
よくよく聞くと、アスカーはアニー以外に、スポ-ツジムのインストラクターのワイダと、
学生のスーリとも1年以上の付き合いで二股(三股?)をかけていた
それは二股ではなく「引力だ!」と言って、どちらも選べないオスカーに
友人レノは呆れながらも解決策を授ける


これ、本当オスカーが瞬さんだからこその話だなと思った
下手したら本当ただのどうしようもない浮気男で最低男(実際そうなんだけど)なのに
これを瞬さんが演じることで彼の天然誠実感がにじみ出ていて
どうしても憎めない愛すべきオスカーになってました
ワイダとの約束も忘れてスーリを助けて猛ダッシュでワイダの所にもどって気絶するとか・・
彼の一生懸命さが出ていて、見てて本当楽しいけど、現実他の男なら放置ですよ放置wwww
まぁ結局は二人には振られてしまうわけなのですが、
世の中、「引力」を信じて甘い夢を見てる男よりも、
女の方が決してバカではなく、現実を見てるって事なんですよね


最後、一人語りをするのがオスカーからレノに変化する所も、
自分には「結婚の才能」が無いと言ってたレノが最後にまた別の女に惚れたというエピソードで終わる所も
もう本当にね・・・「おしゃれだ」・・・・
なんておしゃれなコメディだと思いました


細川さんの選ぶ言葉が本当に好きですごくつぼ突かれるんですが
今回オスカーが何気にワイダに言った
「君の神秘主義と栄養学と○○○(しまった、あともう一つなんだったかな??)は折り合いがついてるの?」ってセリフがすごく好きだったんです
前回ジャックモーメントの時の「ゴトーを待ちながら」の出演者を引用したセリフとかもそうですが、
なんていうんだろ、何気ないセリフで、基本突っ込みなんだけど、すごく洒落がきいてるんですよね


オスカー瞬さんと、レノの大悟さんとのバランスやコンビ感、テンポのよさ、
ワイダ(亜音さん)のオスカーが自分100%向いていないのがわかっていてずるずるひきずらてしまっていた感も、
スーリ(くりゅちゃん)の大人ぶっていながらも、まだ自分の目標をこれから進んでいきたいっていう成長過程感も本当良かった
二人とも本当まさに、アメリカンドラマのような色っぽさがあってめちゃめちゃ好きでした

そして、「場転バーテンwww」の中村くん!セリフは一切ないけど、表情で、二股オスカーに舌打ちしそうな顔しながら椅子片したり、
振られたオスカーに「ざまあみろ」といわんばかりの顔でセット直したりしてる姿がすごく面白かったwww
この存在もまた本当影のお洒落キャラでした



■「サザンクロスの咲く丘」 脚本演出:松本
今回唯一の本編あってのスピノオフ作品
もちろん、これだけで楽しめますが、これ見たらめっちゃ本編見たくなります!
松本さん!再演めっちゃ希望!!!!(もちろん劇場でも超絶訴えました)



終戦後、アメリカの基地がある町に生きる、家族を捨てた少女
誰からも見られず、ただ枯れて死んでいくところを拾ったのは赤線を経営する女、紫乃
紫乃に、客の来店を知らせる鈴の音にちなんで、「リン」と名前をつけられた女は、
基地の町で娼婦として、水を得て咲き誇る花のように生きていく

けどもリンは心まで紫乃に売り渡さずに、新たに建設されたダンスホールに移るために、
町の裏の本締めである刑事の水島の協力を得て、トタン屋根の娼婦宿の生活から足を洗った
時が過ぎ、娼婦宿は廃止され、街中で落ちぶれて枯れ果てた紫乃の姿を見て驚愕するリン
ずっと紫乃の面倒をみてきた少年(キッド)に職を与えるリンだったが
キッドを預けたガクが、ダンサーに乱暴を働くアメリカ兵を殺してしまった事で町が変わる
ガクを殺すために狙う水島はリンを取り返そうとする紫乃に刺され、逆に紫乃を撃ち殺す
紫乃の手でなる鈴の音
リンの絶叫が暗闇に響き渡る
すべて失っても、リンはこの町で生きていく
丘の上に咲くサザンクロスの花の咲く町
リンの家族のたった一つの思いでを示すこの花の咲く町にリンは生きていく



この話のベースであるギブミーテンエンで描かれているらしい、ガクとマスターはあまり背景が描かれず、
どういった人であったのかいまいち把握は出来ませんでしたが、
逆に本編ではあまり描かれていなかったらしいリンの背景をしっかり描いた作品だったようです

松本さんの作品の中でこの作風は私もあまり多く接してしませんが、
そもそもコメディが出来る人はもちろんシリアスも出来ると私は思ってまして(コメディの方が力が必要)
「賊」の雰囲気とか見ててもこういうのはありなんだろうなとあまり違和感はなかったです
ものすごく「間」と「暗闇」と「荒廃」・・・そして「復興」が見える舞台だと思いました


紫乃さんが、帰ってこなかった旦那の死んだパプアニューギニアに咲いていたサザンクロスを大切にしていたことも、
リンが捨てたはずの家族(兄)の思い出のサザンクロスの押し花を持っていたことも、
戦争のトラウマというものは、それを経験していない人間には到底計り知れないものなんだけれども
やはりこの時代に人たちの心の中にはいろんな形で心の中に残るものだと思いました


リンを演じた柚月さんのか細い体から発せられる存在感や色気が本当にこの世界の基礎なんだろうなと思いました
彼女が成立しなければ世界感そのものが成り立たない
時折、それだけの力を持つ女優さんに出会いますが、本当素晴らしかった
紫乃に対しての、拾って生かしてもらった感謝はもちろんあったんだろうけども、
娼婦としてしか生きる術がなかった後ろめたさと後悔と、
そのプライドが人の「物」であるということを許さなかったんだろうと思ってます
だからこその紫乃の遺体を前にした時のあの絶叫が彼女のすべてを表していました


本編を見ていないので、ガク、マスターはおいておいて、
この作品ですごく印象が強かったのは、
キッド、飯山くん、まだ高校生との事ですが、あの気だるい演技は素晴らしかったです
帰還兵、高野を演じた中村さんの少しいかれた雰囲気が、
サザンクロスの丘のことを聞かれた瞬間にスッと顔つきがかわるのが印象的でした
そして、ガラさんのお花屋さんと、途中みせるアコーディオン弾きの姿は、
これもこの世界感を描く重要な部分だったと思います
あ、これも本編みてないけど、土屋さん演じる水島刑事のねちっこい囁き声の演技はもう・・すごい気になりました
え?本編の水島さんは顔に火傷跡とかあんの??(今回ガクに燃えた木を押し付けられた)
ああ~~めっちゃ本編みたい!!


そして、この作品
戦後の市が、アンサンブルによって描かれてるんですが
最初の貧しい雰囲気から、凍える冬になり、
最後また夏になる頃、少しずつ町の人々の暮らしも裕福になり、
冬には募金を募っていた人が、夏には娼婦達にアイスキャンデーを奢ったりしている姿も
時代の流れを示していて、演出の細かさに感動しました
total皆、同じ人物を演じてるんですよねwww