今部屋で面白い現象が起きている。

 

部屋の鉢植えの木の枝が、勝手に揺れているのだ。

 

数ある鉢の中の、一つの鉢の木だけ揺れたり、何本もある木の枝の一つの枝だけ揺れている。

 

オカルト好きな人なら霊的作用と思うかもしれないし、お自称さんなら電波攻撃と思うかもしれない。

 

しかしこれは不思議な現象などではなく、学校で習う程度の原理で動いているのだ。

 

その原理とは共振である。

 

今、私の部屋の前では道路の舗装工事が夜間作業で行われており、アスファルト舗装の機械(ローラー)の振動数が、鉢植えの木、及び各枝の固有振動と同期した時に揺れが発生する。

 

この揺れを共振と言う。

 

つまり、ローラーの基本振動数、若しくはその倍数と、私の部屋の木や枝の持つ固有振動数が偶然同じだっただけの話だ。

 

この共振は、結構お自称さんの被害妄想の温床にもなっている。

 

共振は物が勝手に揺れたりするだけでなく、共振した物が何かに触れていれば音が出る。

 

その音を盗聴器の音とか嫌がらせの音に思っていたりするのだが、その共振の原因は冷蔵庫のコンプレッサーだったりエアコンのコンプレッサーやベントファンだったりする。

 

女性のお自称さんに、認知度が低いのがベントファンである。

新しいマンションなどにはベントファンが付いている所が多いのだが、意外とベントファンの存在を知らない。

 

ベントファンを知らなければ、換気は換気扇しか思い当たらず、換気扇は勝手に作動しないので、換気扇以外のモーター音を聞けば不思議に思う。

 

そのモーターの振動で共振が発生すれば不思議度はMAXとなり、疑心暗鬼に拍車がかかる。

 

 

しかし、原理を知っていれば共振を止めるのは至って簡単。

 

共振する物の固有振動数を替えればよい。

 

固有振動数は主に長さと硬さで決まるので、硬さは変えられないので共振する物の長さを変えてやれば良い。

 

例えば私の部屋の様な鉢植えの木や、木の枝なら、葉を一枚取るか、枝をほんの少しだけ切り落とせば固有振動数は変わり、揺れは収まる。

 

 

この共振とは少し異なるが、振動による音を盗聴器の音と思い込んでいる人が以外の多い。

 

近年最多となっているのが、スマホの充電器に盗聴器が仕掛けられていると言うケースだ。

 

その理由は、スマホの充電器からモスキート音のような音が聞こえるので、その音で盗聴器を疑っているのだ。

 

しかし、盗聴器から音が出る事は無いので、音が聞こえる=盗聴器ではない。

 

その音の原因は「コイル鳴き」であり、コイル鳴きは家庭用電源が交流である事に由来する。

 

充電器の変圧器の構造は、何枚もの鉄板を重ね、その周囲にコイルが巻かれている。

 

つまり、、電磁石と同じ構造になっている。

 

そして、交流電流は+と-が入れ替わる。

50Hz地域なら一秒間に50回+と-が入れ替わっている。

 

と言う事は、発生する磁力のSとNも入れ替わっている。

 

そして、鉄板を重ねた構造故に、鉄板同士が擦れ合い、音が発生する(ブザーの原理)。

 

同じ原理で、蛍光灯の安定器からも音が発生し、その音を盗聴器の音とか電磁波の音とか思い込んでいたりする。

 

こうした人達も、基本原理は学校で学んでいるはずなのに、何故その知識を応用して考えられないのか不思議に思う。

 

それと同時に、知識を日常に応用出来ない教育に疑問を感じる。

 

こうした振動系以外で被害妄想の温床となっている現象で多い物には、毛細管現象とサイフォンの原理がある。

 

 

こんな人がいた。

初めて一人暮らしを始めた時に、自分で部屋を掃除していて、コンビニへ買い物に行って帰ったら、部屋が水浸しになっていたので、誰かの嫌がらせと思っていたとか。

 

しかし、原因は水を入れたバケツに雑巾を掛けて外出し、その掛けた雑巾がバケツの水に浸かっていた為、毛細管現象で水を吸い上げサイホンの原理で、水の中に浸かっていた雑巾の水位までの水が流れ出ただけの話。

 

それを、誰かが侵入してバケツに躓いたか何かで水をこぼしたから慌てて逃げたとか考えてしまうからおかしな話になる。

 

この水の一件で、警戒心に火が付き、それ以降疑心暗鬼に陥り、何でも疑うようになってしまっていた。

 

私が呼ばれた頃には、自律神経症状が出ており、サイフォンの原理を話した上で診察を薦めたら、軽度のうつ病との診断が出たとか。

 

こうした事例に遭遇すると、今の世の中何かが間違っている様に思うのは、私だけだろうか?