一昨日奈良の春日大社まで初詣に行って来た。

娘の三年連続「凶」はならなかったが、代わりに姉が「凶」を引いた。
去年、軽い鬱と診断されていた姉なので「凶」なのか? と思いきや、姉は「凶」のおみくじに書かれていた内容を見て感動していた。
内容までは覚えていないが、姉を勇気付ける内容だったので、神様が励ましてくれているかのように思えたらしい。

おみくじを引いて、ご祈祷を受けに行った。
今年のご祈祷は、例年とは若干違っていた。

例年は厳かな空気の中、粛々と進められるのだが、今年は何故か笑いを堪えるご祈祷だった。

琴や笛に合わせて歌が詠まれるのだが、その笛の音がかすれて上手く出ていない。
そして、歌の出だしの音程と、笛の音程が全く違い不協和音をかもし出していた。
いきなり音がずれていると、ずっこけそうになる。

その笛の音を聞きつつ、平安の女性に想いを馳せる。
月夜に恋する女性の為に笛を吹く、その笛の音が美しければ「何とお美しい笛の音でしょう」と恋心を抱くかも知れないが、それが不協和音では百年の恋も冷めるだろうな。
そんな平安のロストラブのシーンを思い浮かべながらご祈祷を受けたのは初めてだった。

さらに、最後に神職の方がお札の受け取りの説明をしている時に、途中で言葉を詰まらせて思わず出た言葉が「え~と」。
まあ、若い神職だったので思わず出てしまったのだろう。
「え~と」と言ってしまった瞬間、若い神職は一瞬「やっちまった」と言うような顔をして、直ぐに立て直しを図っていた。

春日大社を後にして、京都方面に行こうと思ったのだが、観光地を見に行って人を見るのは好きではないので、二月動でぜんざいを頂いてから、人の少ない明日香に向かった。

私は明日香ののんびりとした雰囲気が好きだ。
明日香の風景を見ながら古代の人が見ていた景色に想いを馳せる。

今年は石舞台を中心に散策した。



写真で見るより実物を見た方が迫力がある。

石舞台の中へ入ると、こんな石があった。


足袋を履いた巨人の足跡のような模様だ。

クレーン等無かった古代の人は、どうやってこの石を積んだのだろう?
天井の岩は77トンあると言う。
77トンの重量を持ち上げて移動させるとなると、そんじょそこらの大型クレーンでは無理だ。
その苦労や技術の高さに想いを馳せる。

石舞台から伝飛鳥板蓋宮跡へ向かう。



伝承ではここで蘇我入鹿が討たれたとされ、大化の改新の舞台となった場所だ。
自分がそんな歴史的舞台となった場所に立っていると思うと感動を感じる。
それと同時に、そうした遺跡を見て「つわものどもが夢のあと」と芭蕉の句が浮び、権力争いの虚しさを感じる。
しかし冬なので夏草は無い。


伝飛鳥板蓋宮跡から橘寺へ
橘寺は聖徳太子の誕生の地と書かれていた。


それを読んで思わず「馬小屋じゃないじゃん!」と言ってしまった。
境内の二面石も見たかったが、拝観料が一人350円だったので却下した。

橘寺から亀石に向かう。



なんだろうこの優しげな顔は。



創造物はその精神を表すので、この表情が古代の人の心を表しているのかも知れない。
もしそうなら、何と穏やかな心を持った人達なのだろう?

そんな事を思いながら、天武・持統天皇陵へ向かった。
天武・持統天皇陵の手前で、姉の坐骨神経痛が痛み出し、日も暮れてきたので散策はそこで断念。
天武・持統天皇陵に手を合わせて帰途についた。

帰りは亀山の手前から大渋滞で動かない。
渋滞に遭遇したのは18時前だったが、自宅に着いた時には21時を回っていた。