先日、音声送信系の相談者を治療に向かわせることに成功した。

当初、相談内容や言動から統合失調を疑ったが、荒唐無けいな内容ではあるがその人なりに理路整然とした話方をしていたので音韻修復を試してみると、音韻修復に問題があった。

とりあえず聞こえる声を録音してもらい、スペアナ解析をすると聞こえた声は録音されていない。

数度の録音で共通していたのは騒音や雑音が必ずある所で聞こえており、騒音や雑音の無い場所では耳の重圧感や耳鳴りが発生している事も分かった。

考えられるのは、有毛細胞系難聴や自律神経などが考えられるが、そんな診断は医者の領分で、私は如何に納得させて治療に向かわせるかが仕事である。

そこでスペアナの音声波形で声は存在していない事を視覚化して説明した。

3週間で6度の面談、3回のスペアナ解析で治療を受ける決心をしてもらえた。



まあそんな経緯はどうでも良い。
問題は発症原因である。


色々と話をする中で発症原因が分かってきた。

原因はやはり過労とストレス。
しかも自覚が無い。

発症する以前の仕事は残業続き、頼まれれば断れない性格、休日にゆっくり寝ると返って疲れる。

ここらが原因のようだ。

休日にゆっくり寝ると疲れると言う事は、それまでフィルターがかかっていて疲れを感じていなかっただけでかなり疲労していたと言うことであり、ゆっくり寝るとフィルターが外れるため疲れを感じる訳だ。

つまり、交感神経が優位な状態が続いていた訳で、そんな状態が続いていれば自律神経のバランスが崩れる。

頼まれれば断れない性格は、自分の仕事を増やして疲労を増加させる結果となる。

そんな状態が続いていれば継続的にストレスを受けることになる。

そもそもストレスとは外敵から身を守る防衛機能である。

防衛機能であるが故、継続的なストレスが続くと外敵を探し、それが被害妄想や監視妄想となって現れる。

そして継続的にストレス状態が続くと、脳の神経細胞に栄養が行き渡らず、脳の萎縮を引き起こす。

それは有毛細胞も同じで、ストレスが続くと有毛細胞が弱ったり死んだりする。

幻聴や音韻修復の原因は恐らくそこにあるだろう。



相談者は精神科で治療を始めたが、私の出来るアドバイスとして、休日はゆっくり休み色々な物を触り、触られる事。

医者の治療は主に投薬治療になるが、投薬治療では脳の神経細胞は戻らない。
脳の神経細胞は五感からの刺激によって活性化され、特に触覚からの刺激が重要になる。

ちなみに私の趣味は菜園である事を話したら、その相談者は興味を持ち、イチゴの話をしたらその人もイチゴを育てて見たいと言い出した。

こうした人には菜園はとても良い。

土を触り、植物を触り、土の匂いを嗅ぎ、植物の匂いを嗅ぐ。
そして味覚も楽しめ、成長や収穫の喜びも味わえる。
そして何より心休まる時間がある。

そこには脳神経を活性化させる物が詰まっている。


常に緊張した顔をしていた相談者だが、イチゴ栽培をすると言った相談者は満面の笑みを浮かべて帰って行った。


がんばれ!