バイトで訪れた現場、作業内容はワイヤーメッシュ敷き。


と言っても何の事か解らない人がほとんどだろう。


早い話、床のコンクリートの中に入っている鉄筋だと思えばいい。


普通のワイヤーメッシュなら、念の問題も無かったのだが、始めて見るワイヤーメッシュが準備されていた。


通常のワイヤーメッシュとは形状が違う。


果たしてどうやって使うのか?・・・・・・・・・・・・職長さんに「やっといてくれ」と頼まれ、過去の経験を元に考慮の末敷き始めた。


しばらくすると、職長さんがやって来て「何をやっとるんだ!」と、怒鳴られた。

「誰がこんな風に敷けと言った!」と、通常のワイヤーメッシュと同じようにやり直しをさせられた。


しばらくすると、今度は監督さん1号がやってきた。

すると「何でこんな風に強いているんだ!」と怒鳴られ、また監督さんの指示するやり方で、やり直しをさせられた。


半分ほど敷いたら、今度は所長さんがやって来て、これじゃ駄目と言われ、所長の指示するやり方でやり直しをさせられた。


論点は、一つ。

通常のワイヤーメッシュは、1マスかぶせて結束する。

1枚毎交互に裏返して重ねる為、鉄筋と鉄筋がぶつからず、厚みは同じ。


しかし、今回のワイヤーメッシュは髭付きで、1マスかぶせると鉄筋が4段重ねになってしまう。

そうならない様に、私は重ねずに敷いていたのだが・・・


誰のいうやり方でも、必ず重なってしまう。

どう考えても、重ねる事は間違いだと思った。


私が昔やっていた場所打ち杭で使う鉄筋、それは円筒形だったが、それを展開して考えれば基本は同じだろう。


そこで監督さん2号に「重ねない為の髭じゃないですか」と意見した。


そして少し待ってて・・・

この時点で、すでに3時。


何とかその方法でGOが出た。

そして、10枚ほど敷いた所で、監督さん3号が「ちょっと違うんじゃない」と言い出し、その監督さんの指示通りにすると、髭が邪魔になる。

それを監督さんに言うと、邪魔なら切れと言われ「切っても良いんですか?」と聞き直したら「どれだけ遅れていると思っているんで!いいから切れ!」と命令され、10枚ほど切った所で、監督さん2号が取扱説明書を入手してきて「何で切っているんだ!」と叱られ、その説明書には、私が最初にやっていた方法が書いてあった。


正解が出たのは、4時を回っていた。

残業覚悟で仕事をしていたら、投光器がなく6時で終了。


そして翌日に持ち越し。


次の日、なぜか私が職長をやらされる羽目になってしまった。

別に給料が上がる訳でもないのに、KY活動(「危険予知活動の略で、空気読めないではない)書かなくてはならないし、伝票も書かなくてはならない、そして職長会議にも出なくてはならず、面倒くさいので嫌いだ。


それでも何とか終わらせようと意気込んでいたら、一人貸してと言って一人持って行かれた。

前日は7人、この日は4人だったのだが、朝から一人別仕事に持って行かれ、3人でやる羽目に・・・


翌日までに仕上げねばならないと言うのに・・・


それでも、何とか順調に・・・・昼間では・・・


昼から、前日のツケがまわって来た。

前日切らされた髭。


その材料は、髭が無ければ使い物にならない材料だった。

その髭を、10枚も切ってしまっていたので、当然材料が足りない。


材料も無いのに、翌日までに仕上げろと?


仕方が無いので、端材をかき集め、端材を加工して作業する事に・・・


使える寸法の葉材を継ぎ足し、髭を作り、あの手この手を使って何とかした。


なんとかしたら、今度は「何で継ぎ足してあるんだ!」と「鉄筋検査」でクレームを付けられた。


バカヤロー!・・・とは言えず、材料が足りなくなってしまったので仕方なく・・・


結局仕事が終わったのは19時。


帰る頃には、吹雪。




結局誰一人、監督も所長ですら、その材料の使い方を知らなかった。

皆が、通常の材料の使い方から頭が離れなかった。



で、やり方が解ったら、次のフロアは専門の鉄筋屋がやる事になった。

一説では、その鉄筋屋はその材料の仕事は断っていたらしい。

鉄筋屋も知らなかったから断っていたのか?






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