ノストラダムスの予言の年が私の初仕事だった。
依頼者の家に行くと、そこは「山下清」の貼り絵の世界が広がっていた。
細かく切ったガムテープが貼り絵のように貼られた異様な空間。
依頼者の話では、部屋中に隠しカメラが仕掛けられていて、そのカメラを塞ぐ為だと言う。
一枚をめくってみると、そこには画鋲の穴、別の一枚をめくると、釘の頭。
そのガムテープは、部屋にある全ての黒い部分に張られていた。
画鋲の穴、釘の穴、釘の頭、木の節、汚れ、など等。
話を聴くと、「1ミリの穴があればカメラは仕掛けられる」と言うTVを見て不安になったと言う。
そんな事はさて置き、その人とのやり取りの一コマ。
下の階から電磁波攻撃をされて、火傷まで負わされているんです。
ほう、何処に火傷を?
依頼者は「ここです」と、袖をまくり二の腕を見せると、そこには確かに肩から肘にかけての火傷の痕が・・・
その火傷は何処で受けられました?
ここで寝ていて、目覚めると火傷を負わされていたんです。
ほう、ここですかな?
オット!・・これは、フムフム、なるほど~!
ここで寝ていたら火傷したと言う事ですね。
そうです。
その時寝苦しかったり、熱かったりはしませんでしたか?
寒いくらいです。
今、ここで寝ても熱くないですか?
熱くないです。
分かりました、原因はホットカーペットによる低音火傷ですな。
そんなはずはありません、全然熱くないじゃないですか。
それそれ、全然熱くないのが問題なんですよ。
このホットカーペット、ボリュームが最大で、私が触ると、触っていられないほど熱いのです。
ここで寝ていたら、誰でも低音火傷になるでしょう。
火傷をされて電磁波に怯えてここで寝なかったのは、ラッキーでしたね。
ここで寝続けていたら、全身火傷になって最悪の事態になっていたかもしれません。
問題は、私が熱いと感じるのに、貴方は熱さを感じていない。
つまり、貴方の皮膚感覚が狂っているのです。
しかし、本人は最後まで納得できなかった。
自分の感覚で熱くない物は、熱くないとしか思えない。
自分が熱くないと感じている物を、これは熱いと言っても狐にばかされているとしか思えない。
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