その事件は、一本の電話から始まった。
電話に出るといきなり「電磁波攻撃を受けているから何とかしてくれ!」・・・
その電話は「もしもし」も無く、相手を確認する事もなくいきなり始まった。
そして依頼者宅を訪ねて早速調査を始めたのだが・・・
電磁波攻撃とは、どの様な攻撃を受けたと?
10日ほど前から電磁波を当てられていたんです。
どうして電磁波だと?
電磁波を当てられている所が、何かを照射されている感じがして、ピリピリと痛むんです。
ほう、それは奇怪な!
それが今でも続いていると・・・
電磁波を照射され続けている所が物凄く痛く、ついに水膨れまで出来てしまったんです。
それはお困りですな。
何処に水膨れが?
ここです。
と、首筋を見せてくれた。
そこには真っ赤に染まった皮膚に、幾つもの細かい水泡が並んでいた。
・・・・・帯状疱疹だった。
これは、帯状疱疹ですね。
するとその客は、とても驚きこう言い放った。
そんなシナリオまで作られているんですか?
え???シナリオ?????って?
だって、電磁波で私に火傷をさせて退場させるシナリオって事じゃないですか!
なるほど・・・・・・・・しかし、言葉が出て来ない。
いや、下手に言葉を出したら笑いが止まらなくなってしまう。
ここは我慢だ・・・依頼者は真剣なんだ、笑っては駄目だ・・・・・でも・・・・腹筋が痙攣する。
「帯状疱疹」・・・・・「退場方針」・・・・・駄目だ笑いのツボに入ってしまっている。
必死の思いで、「調べて見ます」とだけ口にして、笑いが治まるまで黙々と機械を操作した。
何とか笑いのピークを脱し、帯状疱疹とは病名である事を説明した。
すると今度はこう言い放った。
電磁波で病気にさせるなんて・・・
・・・・駄目だ、頭が電磁波から離れられない、何処までも電波系。
こんな時は「家庭の医学」
当時使っていたパソコンには、バンドルされていた「家庭の医学」のソフトが入っていた。
家庭の医学のソフトを使って「帯状疱疹」を説明し、何とか原因は子供の頃の水疱瘡である事を理解してもらった。
これにて、一件落着・・・・・か~?
集団ストーカー―盗聴発見業者が見た真実 (晋遊舎ブラック新書 1)/古牧 和都