今、会社ではコンプライアンスによる内部統制が頻繁に行なわれている。
コンプライアンスに取り組んでいる会社の多くは、恐らくジレンマを抱えている事だろう。
内部統制をすれば生産性は下がり、コストだけは増加して行く。
人間の社会性で考えれば当然の結果である。
理由は簡単。
人間の社会性の基本である「協力と分け合い」を言う概念の根底を崩す行為をしているから。
人間の社会性の基本をもう一度考え直してみる事だ。
人間は「協力と分け合い」と言う概念で進化してきた動物だ。
一人で狩をするよりも、協力して狩をした方が効率が良く、それを分け合う事で生き抜いてきた種族。
農業も同じ。
一人で農作業するよりも協力して農作業をした方が効率が良く、それを分け合う事で皆が食べていける。
その「協力と分け合い」の基礎となる物が「与えたら与え返す」なのだが、これには「相手を信じる事」が大原則になっている。
「相手に与えたら相手も返してくれる」と信じなければ、相手に与えようとはせず、協力と分け合いは成り立たない。
つまり、人間の社会性の根源は「相手を信じる事」から始まる。
しかし、内部統制は「社員を疑う事」から入る。
会社と言う物は「協力と分け合い」を体現した物なのだが、「疑う事」を基本とした内部統制は「協力と分け合い」を崩してしまう。
不況でも業績を伸ばしている企業は、この社会性を失っていない。
社員から「奪わない」
やる気を奪わない、仕事を奪わない、給料を奪わない、信頼を奪わない、奪わない事は与える事でもある。
その基本は「社員を信じる事」
まずは、原点に帰る事。
原点とは単純化と言う事でもある。
内部統制をする場合、対処療法的に複雑化すれば、管理が行き届かなくなり抜け道も多くなる。
そして社員も息苦しさを感じてしまう。
逆に複雑化したシステムを見直して、単純化すればコストも下がり管理が容易になって来る。
業績が上がらない時は、原点を見直してみる事だ。
原点を見ずに、対処療法的な方針を打ち出しても上手く行くものでは無い。
逆に、人間の社会性に根ざした方針を打ち出せれば勝手に成績は上がる。
これは簡単そうで難しい。
基本となるのは「相手を信じる事」
騙され、裏切られる事が有っても、人を信じる事が出来るかどうかだ。
騙されたくない、裏切られたくないと思っていては何時まで経っても出来る事では無い。
騙されても、裏切られても、人を信じ続ける努力をしてみる事が今回のテーマだ。