人間の五感の中で、嗅覚だけは特別な存在である。


他の感覚は必ず大脳皮質を経由して大脳辺縁系で「快」か「不快」か判断されるが、嗅覚だけは代の皮質を経由せず大脳辺縁系に直結して、感情に直接影響を及ぼしている。


そこまでは、昔から知っていたが、先日見た科学番組は実に興味深い内容だったので、その番組を踏まえて書こうと思う。


「女性は男性の体臭を臭いと言って嫌う」


女性なら「体臭に気を使えよ」とか思うだろうし、男性なら女性に嫌われないように体臭を消そうとするだろう。

今の世の中、それも常識になりつつあり「邪魔な存在」になりつつある。


しかし、体臭は種の保存に大きく関わっている。


男性はアポクリン腺から分泌するアンドロステノンが分泌される。

女性はこのアンドロステノンの臭いを嫌う。


しかし、女性がアンドロステノンの臭いを嫌わなくなる時期がある。

それが「排卵期」で、男性にとっては妊娠の可能性の無い女性を追い払う役目がある。


更にアンドロステノンは汗と混ざり、皮膚にすむバクテリアの栄養となる。

そのバクテリアが体臭を生むのだが、体臭は主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と深い関わりを持つ。

MHCは免疫系がどの様な病気と闘えるかを決める物で、100を超える遺伝子を含み、その組み合わせにより体臭が変わる為、同じ体臭の人は一人もいない。


女性は、排卵期の時にアンドロステノンの臭いを嫌わなくなるが、体臭を嫌わなくなるわけでは無い。

しかし、男性の体臭を嫌っていても心地よいと思える体臭もある。


それがMHCの相性で、女性は自分や自分の親族に似たMHCの人を避け、大きく異なるMHCの男性の臭いを好む。

それは両親から受け継いだ自分の免疫系に、全く異なる免疫系を受け継がせる事でより強い免疫系を持たせる事になると考えられている。


その為、親兄弟の臭いに嫌悪感を持ち、それが近親相姦を防ぐ役割も担っている。



また女性も排卵期にコピュリンと言う物質を分泌する。

そのコピュリンの臭いは、魅力的な女性か魅力的でない女性かを見分ける能力を奪う。

その威力は、臭いを感じないレベルでも効果を発揮する。(何と恐ろしい)



海外では、日本ほど臭いに敏感では無い。

私がフィリピン人の家内と結婚した時に、家内の癖を「変な癖」と思っていた。

その癖は、何でも臭いを嗅ぐ。

洗濯物を洗濯機に入れる時も、全ての衣類を一枚ずつ臭いを嗅いで放り込んで行く。

靴下もパンツも例外では無い。

臭いを嗅いで「う~ん、臭い」と言って楽しそうに洗濯物を洗濯機に放り込み、娘のオムツを変える時も、必ず股間の臭いを嗅いで「う~ん、臭い」と言って楽しそうにオムツを変えていた。


臭いフェチも、本能的な行動だとかねてより思っていた。

臭いフェチは、犬や猫の行動を見ていれば、同じ行動をしているように見える。




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