毎度の事ながら、精神疾患を発病した人の家族てあんな人が多いのだろう?
おかしな言動を始めたら「病院へ行け」。
病名が付いたら、不安を訴えても「それは病気だから」、「気のせいだから」で済ませてしまう。
案外知らない人も多いと思うが、精神疾患って病院だけで治ると思っていたら大間違いだ。
家族や周りの人の理解とサポートが無ければ簡単に治る物ではない。
「病気のせい」という物を、例にすると、人から「それは病気のせい」と言われるのではなく、自分で「これは病気のせい」と気付かなければ意味が無い。
今日も、そんな人の調査に行って来た。
真剣にその人の事を思うと、結構高額な機材が必要になってしまう。
家族は、それを「セールス」だと受取ってしまう。
家族は、そんな物は「病気から来る気のせい」だから、「病院で薬を貰ってくれば良い」と考えてしまう。
確かに、その人の言う「侵入者がいる」と言うのは妄想でしかないし、原因が自覚していない記憶障害である事も分かっている。
しかし、記憶障害を自覚出来るのは、自分が映っている映像でしかない。
自分がした事を忘れている事を「侵入者」と思っているのなら、記憶が無くなっている時の映像を自分で見る事が自覚させる事になる。
その自覚が無ければ、妄想が消える事は無い。
今日の依頼者はかれこれ20年その不安な生活を送っている。
病院に行っていると言っていたが、何の自覚も持っておらず、ただ「誰も信じてくれない」と言っていた。
簡単に自覚させるには、最初から「気のせい」とか「病気じゃないのか」と言う言葉は避けるべきだろう。
私の場合「否定も肯定もせず、事実確認をしましょう」が原則である。
記憶障害の場合、依頼者には「犯人を撮影する為」と称し、事実確認として「24時間録画の映像」を撮らせる。
そこに「犯人」が映っていれば、それはそれでOKだが、「眠らされた」とか「取られた」と主張した時の映像を見せて、自分が映っていれば「どうして?」と言う事になる。
そこで、「この映像を見る限りでは、お忘れになられているとしか申し上げようが無い」から始まり、もし「記憶に障害が出ているとすれば大変なので、早急にMRIなどを撮られて検査された方がよろしいのでは?」等と持って行く。
そうすれば、最初から自覚させて治療させられるので、病後が楽だ。
自覚もさせずに、言葉だけで納得させようとしても、必ず反発される。
一旦反発されれば、その後に何を言っても「騙そうとしている」とか「病気扱いする」と言う意識が根強く残り、なかなか治らないし、再発を繰り返す事になる。
方法は、十人十色なのでその人に合わせた方法を探さなければならない。
一人が成功しても、同じ方法が他の人にも有効だとは限らない。
先日見た精神病院のドキュメンタリーを見ていて思った事がある。
入院して、回復して、退院して、家に帰ると再発する。
入退院を繰り返す。
つまり、家に問題があるのではないのか?
健常者の「これくらいの事」は病者にとっては苦痛になっていたり、その事を病者も「これくらいの事も出来ない」と落ち込んでしまったり。
鬱病になった主婦の人など「家事」が結構出来なくなる。
その家事を、任せれば「やる気力が出てこない」
無理にやればストレスが溜まる。
誰かにやってもらうと、自己嫌悪に陥る。
そして再発を繰り返す。
今まで見て来てきた人の多くはそのパターンだ。
今まで指導して比較的成功に近い方法が一つある。
それは「一緒にやる」事だ。
その時に、なるべく「これどうするの?」と聞いてあげること。
丁度、お母さんが子供に料理を教える時の感覚だ。
そこに「楽しさ」を与える事。
そして「質問」の様に「聞く」と言う行動が結構重要で、聞かれて教える事は自尊心に繋がる。
鬱病などは自尊心がなくなっている状態でもあるので、自尊心を持たせる意味で、聞くという行為が有効なのだが、やりすぎは禁物だ。
これは、記憶障害をテーマに書いているが、幻聴や幻覚も基本的には同じ。
記憶障害は記憶が無くなっている訳だから、本人にはその自覚が無い。
自分で使って自分で置き場を変えて、その記憶が失われれば、物が移動した心当たりは無く、「誰か」が動かしたとしか思えないだろう。
幻聴や幻覚も同じ、本人には確かに存在している。
誰も、自分の目や耳で、見たり聞いたりしている物を疑ったりはしないだろう。
本人は「パラレルワールド」にいる。
パラレルワールドから引き戻す為には、機械的に写した現実を見せるのが手っ取り早い。