Ubuntu 22.04.2 LTS にインストールした WINE (version 6.0.3)の中へ「秀丸エディタ」を入れてみました。WINEは、Wine, Wine-development, Q4Wine の3つをインストールしておくとよいみたいです。

 

Ubuntuネイティブ環境下で、秀丸エディタをダウンロードしたら、作業用フォルダにて展開しておきます。Ubuntu側でターミナル(小生は xfce4-terminalを使ってます)を開き、展開した秀丸エディタファイル群が入っている作業用フォルダをカレントディレクトリに設定してから下記コマンドを実行します。

 

$wine hmsetup.exe

 

Q4WineをランチャーとしてWindows用アプリケーションを起動するというスタイルになるかと思いますので、Q4Wineに秀丸エディタを登録します。手順は下記のとおりです。

 

・プログラムタブでimportを選択。

・右ペインでマウス右クリックし、新しいアイコンを指示。

・右ペインに作成した新しいアイコンを右クリックし、設定を指示。

・プログラムのありかを設定。

・作業ディレクトリを設定。

・名前を設定。

・アイコンを設定(Hidemaru.exeを指定するとアイコンを選択できる)。

 

 

小生は長年emacsを使っているので、指がemacsの運指に馴染んでいます。そこで、秀丸エディタでもキーバインドをemacsに似せると、とても具合がよく感じます。但し、カーソル移動だけ対象にします。なぜならば、秀丸エディタは秀丸エディタでありemacsではないからです。

 

秀丸エディタのキーバインドを変更するには「その他」→「キー割り当て」です。

「キー割り当て」のウィンドウの「キーに対するコマンド」タブにおいて、「Ctrl」チェックボックスにマークして、カーソル移動操作をemacsに似せます。小生は下記の9個を設定しました。同時に、既存のキー割り当ての中には、下記9個のキー割り当てと矛盾する割り当てがありますので、それは削除します。

 

Ctrl+A 行頭に移動

Ctrl+B カーソル左

Ctrl+D 削除

Ctrl+E 行末に移動

Ctrl+F カーソル右

Ctrl+H バックスペース

Ctrl+K カーソルより後ろを切り抜き

Ctrl+N カーソル下

Ctrl+P カーソル上

 

キーに対するコマンドの設定変更が終わったら、「保存...」ボタンをクリックして、名前を付けて保存します。保存が終わったら、念の為、秀丸エディタを終了して再び起動します。そして再び「キー割り当て」ウィンドウを出して、先程保存したキー割り当てを「読込み...」ます。

 

WINE環境の中で動いているアプリからUbuntu側の仮名漢字変換をつっつく仕組みは未だ無いみたい(小生の調べが足りないだけという可能性も十分あります)なので、秀丸エディタ内で「かな漢字モードの切り替え」のキー割り当てをしても利きません。だから、仮名漢字変換のON/OFF操作に関するキー割り当て(キーバインド)は、Ubuntu側でMozcの設定として行うことになります。

 

小生のThinkPad R500のキーボードはUS配列なので「漢字」キーや「変換」キー等がありません。仮名漢字変換モードのON/OFFを Ctrl+\ (コントロール+バックスラッシュ)及び Ctrl+o (コントロール+オー)で行うことにしました。ちなみに半角バックスラッシュ(\)は半角の円記号(¥)と重複しています。

 

Ubuntu 22.04.2 LTS の仮名漢字変換は Mozc です。Mozc の設定(下に画面キャプチャを示します)で、入力メソッドのオンオフのところに Ctrl+\ 及び Ctrl+o を設定しました。

 

 

Ubuntu側での仮名漢字変換用キー割り当ての設定が終わったら、もうひとつやることがあります。WINEはUbuntuのGNOMEを経由せずキーボードからの情報を得ているみたいなので、Ctrl キーと CapsLock キーを入れ替えて使いたい人は Xmodmap を使う必要があります。Ubuntu 22.04.2 LTS の自分のホームディレクトリに  .Xmodmap を作成します。
 

$vi .Xmodmap
 

その中身はテキストで以下のとおりです。

remove LOCK = Caps_Lock
keysym Caps_Lock = Control_L
add Control = Control_L


これを次のコマンドラインで有効化して、思ったとおりになったかどうか確認できます。ちなみに、再起動すれば自動的に ~/.Xmodmap は読み込まれます。

$xmodmap ~/.Xmodmap

 

Ubuntuにログオンしたら自動的にこのコマンドラインが実行されるように下記の一行を .bash_profile の中に追加しておくとよいでしょう。

xmodmap ~/.Xmodmap

 

秀丸エディタは、さくらエディタよりも WINE との相性がいいようです。カーソルの位置でインラインでかな漢字変換候補が現れて文字が挿入されます。

 

下に示す画面キャプチャは、秀丸エディタのIME表示がデフォルトの状態です。変換前の文字列「かな」がカーソル位置にありますが、もとのテキストの上に浮かんだ状態で存在しており、確定させるともとのテキストのカーソル位置へ挿入されるという動作になります。

 

 

それで、下に示す画面キャプチャは、秀丸エディタのIME表示でトゥルーインラインに設定した状態です。変換前の文字「あいうえお」がカーソル位置にあり、なおかつ、もとのテキストの中に挿入された状態で未確定のまま存在しているという動作になります。未確定の文字には下線(点線)が付くのでわかります。

 

 

トゥルーインライン入力に設定するには、秀丸エディタの動作環境設定で、上級者向け設定にチェックを入れて項目を詳細に設定できる状態にしたあと、左ペインに並んでいる「編集」の中にある「 IME」を次のとおりに設定します。
-----ここから-----
□かな漢字変換もやり直し可能にする
■前後のフィードバックを使う
 入力モード:
  ○通常のインライン入力
  ●トゥルーインライン入力
  ○何もしない(システムライン入力)
□トゥルーインライン入力でIME側の色情報取得
■トゥルーインライン入力で候補の位置追従

-----ここまで-----
 

余談

じつは「秀丸エディタ」の前に、Ubuntu 22.04.2 LTSのWINE環境へ「さくらエディタ」をインストールしたのですが、さくらエディタは、ちゃんと起動するし普通に使えそうな印象だったのですが、最後にファイルを保存して終了しようとしたところ、なんと、終了することができませんでした。ちなみに「秀丸エディタ」は普通に使えるしちゃんと終了することができます。なので、WINEで使うには、さくらエディタではなくて、秀丸エディタがお薦めだと思います。