[1] はじめに

 

Duplex MMDVM Hotspot with Aluminum Alloy Shell Color Display Screen Supporting For C4FM/DMR/DSTAR P25 With Raspberry Pie 1B+ という商品をAliExpressに出店しているWishcolor Storeという名前の販売店から¥20,359で買いました。

 

現物は下に示すとおりです。AliExpress内で複数の販売店から見た目が全く同じ製品が異なる価格又はほぼ同じ価格で売られていますが、ラズパイに搭載されたCPUの処理速度の違いが、価格違いの主たる要因かもしれません。ちなみに、小生が購入したMMDVM Hotspotのラズパイは Raspberry Pie 1B+ というグレードみたいです。

 

MMDVM Hotspotの裏側です。

 

 

MMDVM Hotspotの左側です。microSDカード挿入口があります。4GBのmicroSDカードにシステムソフトウェアが入っているようです。

 

 

MMDVM Hotspotの右側です。イーサネットポートがひとつ、フルサイズのUSBポートが4つあります。そのうちのひとつに IEEE 802.11n の無線LAN用USBドングルを挿入する仕組みになっています。ちなみに、イーサネットポートには見慣れた黄色と緑色のLEDがありますがイーサネットにケーブルを接続して使っているときにも点灯しませんでした。SMAコネクタ式のアンテナが2本ありますが片方が受信専用もう片方が送信専用です。このMMDVM Hotspotは430 MHz帯を使います。144 MHz帯には対応していないみたいです。

 

 

MMDVM Hotspotの上側です。左から順にmicroUSB電源供給ポート、フルサイズのHDMIポート、3.5mmΦジャック。


 

MMDVM Hotspotの下側です。

 

 

AliExpressに注文して届いたのは、これだけ、でして取扱説明書も何にも同梱されていませんでした。しかも、AliExpressの商品ページに記されている初期導入手順は、途中から違っていてその通りにはできませんでした。半田ごてやテスターの二の舞でこれも返品処理しないとダメかと思うほどの仕方無さでした。気を取り直して、いままでに Pi-Star について自分なりにネット記事などから収集していた情報をもとに、もしかしたらこうだろうと予想を立てて試してみました。

 

Step1

いろいろいじったりupdateかけたりしているうちにmicroSDカードを論理的にクラッシュさせてしまう危険性があるから、MMDVM本体に挿入されていたmicroSDカードのクローンを念のために作っておく。Win32DiskImagerというGNUライセンスのPCソフトウェアを使いました。

 

Step2

Pi-Star のホームページにアクセスして、そのページにある pi-star tools の WiFi Builder 機能を利用して wpa_supplicant.conf というファイルを生成する。

 

Step3

microSD カードの boot ドライブへ wpa_supplicant.conf ファイルをコピーする。

 

Step4

Step2で指定したWiFiを稼働しておく。そのWiFiはインターネットに接続されている必要があります。

 

Step5

microSD カードをMMDVM本体へ戻したら、MMDVM本体に電源を供給する。MMDVM本体は、Step2で指定したWiFiに、自動的に接続されます。1~2分かかります。

 

Step6

Step2で指定したWiFiにPCを接続したら、そのPC上のブラウザから http://pi-star/ へアクセスする。ダッシュボード|制御|設定などができるウェブページ画面になります。

 

Step7

Step6で現れたウェブページ画面にあるログイン機能を使います。ユーザ名は pi-star パスワードは raspberry です。これはAdministratorでのログイン行為になります。

 

Step8

ユーザ名 pi-star のパスワードを変更します。パスワードは覚えておいてください。

 

Step9

MMDVM本体のパラメタ設定を行います。

Pi Star Setup Start To Finish - YSF DMR

Pi-Star / DMR Complete Tutorial Hotspot Programming

Using Your FT 70D with a Jumbospot

 

 

MMDVM Hotspot と DMR方式トランシーバー(TYT製 型名はMD-2017

 

 

DMR方式トランシーバー(TYT製MD-2017)の画面例です。Brand MeisterリフレクターシステムのWorldwideトークグループで入感があったときのMD-2017の画面です。

 

 

DMR方式はモトローラ社が業務用に作った体系だということらしいです。変調方式や符号化方式等のいわゆる狭義(物理層通信プロトコル)だけではなく、無線装置の操作性(User Interface)も含めたまるごとをDMRとして議論されることもあるみたいです。

 

業務用途での使い方は、アマチュア無線用途での使い方とは違います。たとえば、CQを出して不特定の無線局とQSOを楽しむなんて使い方は、業務用途では全く想定しない使い方だと思います。また、アマチュア無線のQSOでは、混信を避けるためにその場の相談で周波数を変更したり、FM変調だったらその場の相談で周波数偏移量(e.g. Wide FMをNarrow FMに変更とか)を切り替えたりすることもあると思います。たとえば、複数台数の乗り物で行楽ツーリングする際の連絡用にアマチュア無線を使う場面では、最初は業務用と同様にあらかじめメンバが把握されているかもしれませんが、途中のその場で、メンバが増えることもあるでしょうし、周波数等をその場で臨機応変に変更することもあるでしょう。

 

アマチュア無線機に使われている物理層(デジタル通信プロトコル)は、YAESU、ICOM、DMRの間での相互運用性はありませんが、デジタルなので復調したあと上位層で処理することは理論的にも経済的にもアナログ通信プロトコルよりも難しくないでしょう。しかし、YAESU及びICOMの無線機の操作性と多くの中華製DMR無線機の操作性は全然違います。小生が実際に入手したTYT製MD-2017の操作性のことを言っています。結構多くの中華製DMR無線機のLCD画面の様子がMD-2017とそっくりなので、それらのそっくりさんは大方MD-2017と同様の操作性なのではなかろうかと想像しました。

 

もちろん中華製のDMR無線機が全てMD-2017と同じ操作性ではありません。たとえば下記のYouTube動画を拝見すると、 Ailunce HD1 という機種はDMR無線機ですが、YaesuやICOMやWOUXUNなどの操作性に近いようです。

 

Ailunce HD1 - A Game Changing DMR Radio Designed For Radio Amateurs!

Ailunce HD1フルレビュー!

 

DMR方式の無線機は、想定する使用場面に合わせて、あらかじめ様々なパラメタを設定しておくものらしいです。現場で、不特定の無線局を相手にQSOするために、その場で柔軟に無線機のパラメタを変えるという前提は、業務用の操作性を与えられたDMR無線機には基本的には無い(あったとしても木に竹を接ぐかのごとく)みたいです。但し Ailunce HD1 という機種はDMR無線機ですが、YaesuやICOMやWOUXUNアナログ機種(デジタル機種のことは知りません)などアマチュア無線用途の操作性にかなり近いようです。そういうことから、Ailunce HD1 という機種のことをゲームチェンジャーであるとして褒める人がいるようです。

 

まぁいずれにせよ、DMR無線機を買うなら、パソコンに接続してパソコン上で無線機のパラメタを設定したり設定値をファイルに保存/読出しできた方がいいと思いますので、そういうパソコンソフト(しかもまともに使えるレベルのもの)及び当該無線機専用のUSBケーブルが必須だと思ったほうがよさそうです。もちろん小生はプログラミングケーブル込みでTYT製DMR無線機MD-2017を買いました。

 

TYT製MD-2017は、小生にとって初めてのDMR無線機です。ネットでの評判は結構良かったのですが、電源を入れるところまでしかできずに戸惑いました。

 

大昔の無線機はとりあえず除いて、最近のデジタルの無線機操作の経験といえば YAESU FT-70D だけですが、 YAESU VX-3 とか WOUXUN KG-UV3D といったアナログハンディ機の操作には慣れていました。 FT-70D は、VX-3やKG-UV3Dにデジタルモードが加わっただけに仕上がっていて(デジタルスケルチとかAMSとかWires-Xでの操作はもちろん別ですが)、操作に戸惑って電波を出せるところまで至れないなんてことはありませんでした。ところが、DMR無線機(TYT製MD-2017)では、電源を入れたあと、もうそれ以降は歯が立ちませんでした。しかも取扱説明書を読んでも、周波数を合わせてPTTを押して電波を出すといった手順が全然わかりませんでした。

 

たとえば、YAESU FT-70D では、キーパッドから周波数を打ち込めば設定されるので、PTTを押せば電波が出ます。アンテナがあり、ボリュームがあり、PTTがあり、LCD表示があり、キーパッドがあり、といった具合に YAESU FT-70D と TYT MD-2017 は同じに見えるのですが操作性が全然違います。TYT MD-2017 のキーパッドで周波数(e.g. 433.000)を打ち込むつもりで4を押すと画面にはCH-4と表示されておしまいです。たぶん工場出荷時に、いわゆるVFOモードではない動作試験モードか何か別のモードになっているんだと思います。YAESU FT-70D はVFOモードを軸足に操作性が比較的モードレスに作られているから、アマチュア無線で使いやすいのではないかと思いました。それに対して、当該DMR無線機はアマチュア無線の周波数帯にしてあるものであっても、業務用途前提の操作性を付けて提供されているということなんだろうと推測しました。この操作性の部分での気持ち悪さがどうしても嫌いならば、YAESUやICOMのアマチュア無線機を選ぶのが正解だと思います。

 

業務用に便利な操作性体系を使って、アマチュア無線のQSOをしようとすれば、ちぐはぐになることは自明ですが、量産効果の経済合理性からいってDMR無線機は、YAESUやICOMのアマチュア無線機よりもかなり安いです。なので業務用の操作性であることは我慢することにして、アマチュア無線のQSOをするために流用するには、あたかも業務用途みたいなことで設定した状態にしてやって、その状態の中で柔軟に変えられる範囲(e.g. VFOモードでキーパッドから周波数入力)で我慢してQSOに使うというのが現実ではなかろうかと考えました。

 

そこで、先ずはその「あたかも業務用途みたいなこと」で一度設定してやる必要があります。アマチュア無線のQSOを想定する業務用途みたいなやつとして、VoIPによるアマチュア無線局とのリフレクタを介したQSOというのを一例にすることができると思います。いわゆるDMR無線機とのベースバンド(e.g. 430MHz帯)接続及びWiFiインターネット接続を同時に提供する Multi Mode Digital Voice Modem (MMDVM) というホットスポット(Pi-Starプラットホーム)を使う形態です。

 

 

[2] DMR無線機でVoIPを使えるようにするのに必要なこと

 

[a] RadioID.netでDMR IDを取得すること。

[b] Brand Meisterに登録すること。

[c] VoIP接続用のホットスポット機材を調達すること。

[d] ホットスポット機材の内部設定を行うこと。

[e] DMR無線機の設定を行うこと。

 

 

[3] RadioID.netでDMR ID取得

 

アマチュア無線局免許証を撮影してJPEGファイルにしたものを証拠として提出することでDMR IDを取得できます。

 

 

[4] Brand Meisterに登録

 

アマチュア無線家を対象にしたVoIPでQSOを行うBrand Meisterという名前の音声リフレクターサーバーを使わせてもらうためにアカウント登録が必要です。サーバーへアクセスするのに必要なパスワードを発行してもらいます。Brand Meisterの他にもVoIPシステムがあるみたいですがさしあたり小生はこれにしておきました。

 

 

[5] VoIP接続用のホットスポット機材調達

 

この手のホットスポットは、Multi Mode Digital Voice Modem (MMDVM)というカテゴリーの製品になります。GitHubで公開されているMMDVM Suite for OpenWrt というソースコードを応用した製品のようです。例えが適切ではないかもしれませんが、Linux と UBUNTU のような関係かもしれません。Linux に相当するのがOpenWrtで、Pi-StarとかOSTARといったソフトウェアがUBUNTUに相当するのかもしれません。UBUNTU以外にも様々なLinuxディストリビューションがあるというのに似ているような気がしました。

 

充電式電池とカラーLCDを内蔵したコンパクトなホットスポットがありましたから、小生は最初はそれを入手しましたが、OSTARであり、microSDカードは使われていませんし、蓋はあかないので、拡張性というものはありませんが、持ち歩くには便利です。次に購入したMMDVMがここで紹介するやつで、Pi-Starであり、microSDカードでソフトウェアを供給するタイプでして、アルミ製のケースでネジで蓋があきまして、外部電源です。

 

 

[6] ホットスポット機材の内部設定

 

Pi-StarをDMR用にconfigurationするための説明YouTube動画です。

Pi-Star / DMR Complete Tutorial Hotspot Programming

 

 

[7] DMR無線機の設定

 

DMRだろうがD-StarだろうがYaesu System Fusion(YSF)だろうが物理層プロトコルはデジタル通信であることに違いはありませんので、デジタル通信の特徴があり、設計の違いにより若干特徴に違いがあり同時にコンパチビリティがありません。しかしながら、これらのデジタル通信系の上位層側たとえば操作性には大きな違いがあります。DMRが業務用から生まれておりD-StarとYSFがアマチュア無線用から生まれているからです。DMR系でその操作性にアマチュア無線用に便利なやつを載せている機種が無いかと、小生は調べていますが、いまのところ見つかりません。

 

すなわち、YaesuやICOMのアマチュア無線機の操作性を想定してDMR無線機をいじると、電源ONはできても、交信できないに違いありません。小生がそうだからと言って一概に、交信できないに違いありません、と決めつける筋合いではないかもしれませんが、それだけ操作性に違いがあります。

 

DMR無線機に搭載されている操作性の一般を理解しておくことは、必要最低限の知識として必要だと思います。まず用語から。

 

下の図は一対一の交信を示していますが、これをプライベートコール(Private Call)といいます。いわゆるコールサインのことをコンタクト(Contact)といいます。コンタクトをコールするという形式になります。

 

 

下の図は一対多の連絡を示しています。これをグループコール(Group Call)といいます。下の図は、Contact5からTG1、TG2、TG3へ向けての連絡放送です。それぞれのTGに属するContactとContact5との交信を許可するか許可しないか等を属性で管理できるようになっているようです。TGを超えてプライベートコールできるようにするしないも属性で管理できるようです。

 

 

Contactのデータ型は下の図に示すとおりです。また、Digital Rx Group Call 及びZoneのデータ型は下の図に示すとおりです。

 

 

下の図はPCソフトのCPSでのContact編集画面です。

 

 

下の図はChannelのデータ型です。

 

下の図はVFO及びVFO Modeのデータ型です。

 

 

下の図はScan Listのデータ型です。

 

 

DMR無線機のパラメタを設定するにはCPSという名前のパソコンソフトを使います。多くの中華製DMRアマチュア無線機のconfiguration用に、名前が若干違う場合もありますが、基本的に同じパソコンソフトが使われているようです。小生は TYT のホームページでダウンロードしました。パソコンソフトのCPSで設定したパラメタセットのことを Code Plug とも呼ぶようです。もしかすると CPS という名称は Code Plug Set とか Code Plug Software とか Code Plug Settings なのかしらん?

 

MD-2017 programming software

 

↓これはパソコンソフトをインストールしたときのアイコンです。

 

このパソコンソフトを使ってどのパラメタにどんな値を設定すればいいのか解説動画がYouTubeにありました↓

Pi-Star DMR Hotspot Setup on Brandmeister (Part 2)

 

このYouTube動画に従うと以下の[a][b][c][d]を実施することになります。

 

[a] 4つのコンタクトを作ります。

Worldwide (call-id: 91)

UK (call-id: 235)

TAC310 (call-id: 310)

Echo (call-id: 9990)

 

[b] ホットスポットの周波数、カラーコード、送信出力などを設定したチャネルをコンタクト毎に作ります。チャネルの名前はコンタクトと同じにしています。

 

[c] いま[b]で作った4つのチャネルは全てホットスポットで使うものなので、4つのチャネルをまとめてHotspotという名前でゾーンを作ります。

 

[d] 4つのうちどのチャネルでも入感したら聞こえてくるようにしておきので、4つのチャネルを含むGroup1という名前のグループを作ります。

 

以上でDMR無線機(MD-2017)をホットスポットに接続して使う前提でconfigurationができました。業務用の操作性としてはこれでさしあたり設定完了です。この設定は、DMR無線機を利用する場面毎すなわち業務によって異なるわけです。

 

あとは、この設定の状態からどのくらい柔軟にその場その場で変更して使えるかによってアマチュア無線のQSOが便利になるという寸法です。

 

柔軟に使えるようにすると言ったときの小生としての観点は、アナログFM変調モードでVFOが使えることです。下に示すMD-2017端末の画面キャプチャ1行目にある A 145.00000 V というやつがそれです。 AはアナログFM変調モードを意味し、 145.00000は現在の周波数を意味し、VはVFOを意味しています。画面が下に示すようになっているときには、キーパッドから数字を入れることで周波数を設定するという YAESU FT-70D と同じ操作性を得ることができます。もちろん144 MHz帯と430 MHz帯の周波数どちらでも設定できます。MD-2017にあるトラックボールを左右に回転させることで周波数の数値が変化します。もちろんキーパッドロックもできますしトラックボールロックもできます。

 

 

MD-2017端末の上に示した画面キャプチャ1行目にある A 145.00000 V というやつは、CPSのVFO項目のVFO Aで下記のとおり設定します。Channel ModeはAnalogに設定します。

 

 

トラックボールを上下方向に回転させると、下に示した画面キャプチャ―のとおり A から D に替わります。2行目の D 438.54500 1 の意味は、D がデジタル(DMR通信方式)を意味し、438.54500が周波数を表し、1がチャネル(Worldwide, UK, TAC310, Echo)の1番目すなわちWorldwideルームに接続するチャネルに接続していることを意味しています。この画面でトラックボールを左右に回転させるとこの数字が1→2→3→4と替わります。どのチャネルにしてもWorldwide, UK, TAC310, EchoすべてをGroup1としてまとめて受信する設定にしてありますから入感すれば聞こえてきます。

 

 

MD-2017端末の上に示した画面キャプチャ2行目にある D 438.54500 1 というやつは、CPSのVFO項目のVFO Bで下記のとおり設定します。Channel ModeはDigitalに設定します。Rx Frequency及びTx Frequencyはホットスポットとやりとりする周波数です。

 

また、この画面で[Back]ボタンを長押しすると、 D 438.54500 V という表示に替わり、Hotspotというゾーン名が消えて、デジタルモードでVFO操作できるようになります。すなわちトラックボールを左右に回転すると周波数の値が替わり、キーパッドから周波数の値を入れることも可能になります。もちろん144 MHz帯と430 MHz帯の周波数どちらでも設定できます。

 

この画面でもう一度[Back]ボタンを長押しすると D 438.54500 1 に戻り、Hotspotというゾーン名が再び表示されます。

 

 

さて、話は少し脇道へ逸れますが、下に示す画面の状態は、いま、145MHzアナログモードと438MHzデジタルモードの両面待ちになっているけれども、PTTを押したとき送信動作になるのはデジタルモードの方だという意味になります。D 438.54500 1 というのがその意味です。Dの下に矢印が付いています。

 

 

このとき、アナログ145.00000MHzの電波を受信すると、画面は下のように変わります。

 

 

145.00000を受信しないようにするには下に示す状態で[Back]ボタンを短押しです。


 

下に示す画面のとおり、145.00000 V の行の先頭に、×印が付いた赤い色のスピーカーアイコンが現れます。下に示す画面の写真では色が不鮮明ですが赤です。これで145MHz側の受信をしなくなります。

 

 

もう一度[Back]ボタンを短押しすると、×印が付いた赤い色のスピーカーアイコンが消えて、再び145MHz側の受信をするようになります。

 

さて、次は下の図についてですが、上記の全ての設定をMD-2017に施しますと、トラックボールを上下左右に転がすと何が起こるかを示しています。現在のモードがデジタルモード438.54500であるときに、トラックボールを右へ転がすとチャネル1からチャネル2になります。現在のモードがデジタルモード438.54500であるときに、トラックボールを上に転がすとデジタルモードからアナログモードになり、現在のモードがアナログモード145.00000になります。

 

現在のモードがアナログモード145.00000(VFOモードに設定してある)のときに、トラックボールを右へ転がすと(STEPが10 kHzに設定してあるので)周波数が10 kH上がります。左へ転がすと10 kHz下がります。

 

 

 

[8] DMR無線機にCallsign Databaseを送り込む

 

RadioID.net からダウンロードしたコールサインデータベースをCPSに読み込んだあとDMR無線機にインストールする方法がYouTube動画で紹介されています。コールサインデータベースはいくつかの様式がいずれもMicrosoft ExcelのCSV形式のファイルで提供されています。小生は user.csv を使いました。

 

 

 

パソコンソフトCPSのProgramメニューにあるWrite Contactsアイテムを選んで、コールサインDMR-IDデータベース(Microsoft ExcelのCVS形式のファイル)をImportして、WriteすることでMD-2017へ書き込まれるはずなんですが、Firmware error というポップアップが現れてしまって先に進まなくなりました。

 

ネットを検索して対処方法を調べてみたら、MD-2017のファームウェアを最新版にアップデートしろとありました。ところがメーカーであるTYT社のホームページには最新版ファームウェアが見つかりませんでした。メーカーサイトではないいくつかのサイトにファームウェアが置いてありましたが、これを入れて大丈夫なのかしらん?とちょっと心配になりましたが、やってしまうことにしました。


選んだサイトはタイムスタンプMarch 30, 2018のこちらのサイトです↓

100.000 contacts for TyT MD-2017

アマチュア無線家のブログみたいです。とても親身になって書いてくれていて的確な内容だという印象だったのでここに決めました。おかげ様でファームウェアのバージョンを4.05 (April 2018)にすることができました。もとのバージョンを失念してしまいましたが確か3.XXだったように思います。これで Firmware error が出なくなり、10万局分のコンタクトを格納可能になりました。

 

ファームウェアファイルをMD-2017へインストールするためのPC専用ソフトウェアの名前は、FirmwareDownloadV3.04_EN.exe といいます。そしてインストールされたアプリは UpgradeDownload というものでアイコンは以下のとおりです。上記のサイトで入手できます。

 

 

このPCソフトウェアで TYT2017-UV(CSV-GPS)-P4.05.bin というファームウェアファイルをインストールしました。ちなみに TYT2017-UV(GPS-REC)-S4.05.bin だとFirmware errorが出ました。

 

RadioID.netからダウンロードしたコールサインデータベースには、20万局以上の情報がありますから、もはや半分しか入らないことになります。実際に入れてみると12万局分が入りましたがあと8万局分が入りませんでした。その結果、MD-2017にコールサインデータベースから情報が表示されるときとDMR-IDがそのまま数値表示されるだけのときがあるという状況になりました。

 

データベースの先頭から単純に12万局格納されて残りはバッサリ切られている状態よりも、格納しているコンタクト情報は何か分かっている状態の方がましだと思いましたので、データベース(CVS形式のファイル)から国及び地域をひとかたまりにして、少しづつ削除していったところ、 United States, United Kingdom, Japan 及び Korea で 117,311 コンタクトになりました。これなら12万コンタクトよりも少ないので格納可能です。但しUnited States, United Kingdom, Japan 及び Korea 以外のコンタクトの情報は無いので画面上にはDMR IDだけ表示されることになります。でもですね、 United States, United Kingdom, Japan 及び Korea のデータは全部格納されているという塩梅に把握できた状態になりました。この状態でしばらくQSOをウォッチしていて気づきましたが、MD-2017に表示されるコールサインが間違っていることが結構あります。QSOしている二者が反対に表示されてしまったり、全然違うコールサインが表示されることすらあります。これでは使えませんから、QSOしたことのあるコールサイン及びCQが聞こえたらQSOを試みてみようと予定しているコールサインだけにして、しばらく様子をみてみようと思います。

 

さて、あたりまえですが、そもそも、業務用途では通信相手が決まっているはずで、その数が10万局を超えるなんてことは無いでしょう。一方、アマチュア無線では、通信相手は世界中の全てのDMRを使うアマチュア無線局ということになりますから、2022年06月現在20万局を超えてます。まさにこの点は、業務用途とアマチュア無線用途とのチグハグするところだと思います。(ちなみにWires-Xではコールサインデータベースを使わないので、こういう不都合に陥ることはありません。)

 

20万コンタクト(200,000 contacts)までなら入れることができる Ailunce HD1 というDMRアマチュア無線機もありますが、本日現在23万局を超えているので、この機種でも、もはや足りなくてダメですね。

 

と言いながら、DMRアマチュア無線機を探していたら、50万lコンタクト(500,000 contacts)までなら入れることができるやつを見つけました。Anytone AT-D878UVII Plus というDMRアマチュア無線機です。 D878 UV II 及び D878 UV II Plus という二機種が50万コンタクト対応です(下図を参照)。

 

 

[9] DMR無線機でホットスポット経由の山彦試験

 

このブログの箇条7「DMR無線機の設定」のところで触れたとおり、MD-2017には、4つのコンタクトを作ってあります。それはWorldwide (call-id: 91)、UK (call-id: 235)、TAC310 (call-id: 310)、Echo (call-id: 9990)です。このうちEcho (call-id: 9990)というのが山彦(エコー)試験用です。このコンタクト先をめがけてMD-2017無線機で音声を送信してやると、MMDVMを介してBrand MeisterのVoiceサーバーにそれが届いたあと、サーバーが山彦(エコー)します。なのでマイクの調子やマイクゲインの塩梅などを自己完結型で試すことができます。

 

同じくこのブログの箇条7で言及した、画面キャプチャ2行目にある D 438.54500 1 というやつは、トラックボールを左右に回転させて D 438.54500 4 にしておきます。4番目に登録してあるコンタクトがEchoです。

 

下の画面キャプチャはPi-Starのダッシュボードです。このブログの箇条7で言及しているとおりEchoのcall-idは9990です。MD-2017端末でEchoを選んで送信してみました。Local RF ActivityでTargetを9990にしてDMR TS2で7.9秒間送信したことが示されています。これに対してGateway ActivityにはJG1UPSがTargetを9990にしてRF送信(Bit Error Rate 0.8%)したと記録されています。引き続き9990がTargetをJG1UPSにして8.0秒の送信をNetで行ったことが記録されています。

 

 

上に示した Pi-Star Digital Voice Dashboard にアクセスするには、MMDVM本体のイーサネットポートにイーサネットケーブルでPCを接続するか、又はMMDVM本体が接続しているのと同じWiFiに接続したPCから http://pi-star/ へアクセスします。

 

http://pi-star/ というのは http://192.168.100.175/ と等価です。このIPアドレス(192.168.100.175)は、MMDVMユニットの画面の最下行に MMDVM GATEWAY wlan0 の値として表示されています。但し、残念なことに、画面表示設計がだめで文字数が足りておらず最後の5が表示されません。

 

 

[10] このMMDVMユニットは暑さに弱いのか?

 

2022年の首都圏は、06月06日に梅雨入り宣言があり、なんと06月27日には梅雨明け宣言がありました。こんなにも梅雨の期間が短いのは珍しいそうです。しかも梅雨明けした途端連日30℃超えの猛暑が続いています。06月にこのような猛暑になるのは、気象観測の記録のある100年間をとおして未だかつて無かった状況だそうです。

 

このMMDVMユニットは、梅雨があける前まで順調に動作していたのですが、梅雨があけてからは、正常に動作するのは、電源をつないで最初の2~3分だけになってしまいました。画面表示は一見正常ですが、QSOが聞こえなくなって静かになったことで気付きます。静かになってしまうんですが全然聞こえないのではなく、たまに聞こえてきたりするので、なんとも症状をうまく理解できません。しかし、たまに聞こえてくるQSOの声は、いわゆるケロケロ状態なので全然メリット5ではありません。また、そのときのダッシュボードの状態はフリーズ状態で、少しするとブラウザがダッシュボードへアクセスできなくなるという症状です。MMDVMユニットを触るとほんのり温かい程度で、画面上に表示されるCPU温度は44.9℃でした。ちなみに、OSTAR搭載の充電池内蔵型のMMDVMの方は同じ環境にあるにもかかわらず、いまのところ、正常に動いています。

 

次の日にふと思い立ちまして、MMDVMユニットのIPアドレスを固定してみることにしましたが ssh コンソールの反応がまるで100ボーのコンソールみたいに極端に悪くて、作業に時間がかかりましたが /etc/dhcpcd.conf をいじってみました。起動しなくなっちゃいましたから失敗です。

 

なんだか、いろいろ思いつきでいじくりまわしてしまいましたので、問題を切り分けることを難しくしてしまいました。しかたがありませんので、保管してあったオリジナルのmicroSD カードからもう一度ディスクイメージを上書きコピーしてBoot用microSDカードを作成しました。そして Pi-Star を再び設定しなおしました。DMRトランシーバー(MD-2017)の方の設定(Code Plug)はそのままです。今度は、MMDVMユニットを扇風機の風にあたるようにしましたので、CPU温度表示は40.1℃です、4.8℃も下げることができました。いまのところ5分たっても10分たっても聞こえてくるQSOの音声はケロケロになることもなく普通です。しかも、MMDVMユニットの画面の最下行に MMDVM GATEWAY wlan0 の値として表示されていた 192.168.100.175 というIPアドレスが 192.168.92.153 になったおかげで1桁少ないためIPアドレスが正しく画面に表示されるようになりました。

 

 

[11] Duplexは必要か?

 

小生が今回入手したMMDVMユニットは、DMRプラス仕様による全二重(Duplex)モードにも対応できるように送信と受信を同時に行うためにICチップとアンテナがそれぞれ二つ使われてます。しかし、アマチュア無線では、半二重(Simplex)モードしか普通使いませんので、宝の持ち腐れですね。もし全二重(Duplex)モードの実験をしてみたくなったら、まず相手がいないので、全二重(Duplex)モード対応のMMDVMユニット及びDMRトランシーバーをそれぞれもう1台づつ入手する必要がありますが、たぶんその資金があったら、内蔵タッチスクリーンですべての設定が可能だと言われているTGIFという名前の割と新しいタイプのMMDVMユニットを買うと思います。