406.エッグタルト~甘いな | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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きらきら初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください

 

 

「だけどね ホントは… ずっと前に… 双子の赤ちゃんの夢を見たの だから

もしかして双子なのかなって思ってたのに 一人なんだって なんでかな?」
「ずっと前って…いつ?」

「////…絶っ対 言わない」

は?なんで赤くなるんだよ?

…こっちまで…わけもなく…照れるだろ…

「なんでだよ?」
「言わないったら!」
強情なやつだな~
 
別に取って食いはしないのに 背を向けこそしないが… ジリジリと下がって行くチェギョン
「なんだよ?変なやつ
双子が欲しかったのか?それなら作り方を調べておかないとな」
「もう!変な冗談言わないでよ!」
おいおい どこまで下がる気だよ?
つい面白くなってジリジリと距離を詰める
「人工的に且つ原理的に言えば簡単だぞ?受精卵を二つ子宮に投入すればいい
だがそう簡単に受精卵は作れないし 二つともうまく着床するかも解らないよな…
何より子供を作るのは 人工的よりも 直接の方がいいし…」
そう言いながら頬を撫でると ヒクつくチェギョン
「ま…まだ言ってるよこの人は… もうっ!」
くくっ
「本当に双子だったのか?どんな夢だったんだ?授かった時に見たのか?」

そろそろ 逃げられなくなって来ただろ?

「俺と… ジヌかもと思ったんだが…
ジヌは両親に抱かれること無く連れ出されたらしいんだ」
 気の毒そうに眉をひそめる
「ああ それとも…ユルの子が産まれる時期と近いから… ユルの子と一緒に居たとか」
「ええっ!ミルさんも妊娠してるの?!」
「知らなかったか?もう間も無く臨月だ
予定日はいつだ?お前とあまり変わらないかもしれない」
「あたしの予定日は12月18日だよ」
「じゃああっちが遅いか 1月らしい まあ…予定はあくまでも予定だろ?」
「う うんそうなんだけど
 ふぅ~ん そうなんだ… なんか偶然にしてはすごいね」
おい!待てって! ほら危ないダロ!
「なんだよ 俺とユルが示し合わせたとでもいうのか?気持ち悪い」
そこまでだ!!
「そんな事言ってないじゃんっ!ってうわっ」

間一髪抱き止めた
しめしめ 作戦成功 ベッドの端まで追い詰めて まんまと再び腕の中だ

だが… 

ソンが生まれた日のチェギョンが頭を過る

(308.真意~いいだろう それで充分だ 自分の身を守るために俺を利用しろ

あの事はやっぱり 今言っておいた方がいいよな
妃としての確固たる地位を固めたいチェギョンは 男の子を望んで居たはずだ
 

「なあ…絶対凹むなよ?」
「え?」
「向こうは 男じゃないかって言われてるらしい」
「あ…ああ…」
気にするなといっても気にするであろう事は解っていた
だからこそ このことだけははっきりさせて置かなければ
「男だったら ソンに次ぐ継承権が与えられる事になるが…
お前に嫌味のひとつでも言う奴は 俺がこの手で潰してやる
おお怖っと身を竦めて笑うのは 強がりなんだろ?ったく俺の前で無理するなよな
「そんなことはどうだっていい
俺とお前の子の方が可愛いに決まってる
くしゃりと皺を寄せた鼻先を摘まんで 耳を擽って 髪を撫でてやれば 流石のチェギョンも安心感に頬を緩める
こうなると 今度はもう からかわずにはいられない
「それより…お前は俺のものだと言っただろう?
勝手に離れて 半年も男と暮らしたりなんかしやがって 簡単に許して貰おうなんて思うなよ?」
「え? うそっ だってさっき…まあいい許すって…」
慌ててしどろもどろになるから益々怪しい
「それは門前払いしようとした事についてだけだ! そう簡単に許すもんか」
本当にソ・ジテとは… 何もなかったんだろうな?
そう聞きたいのに…
「もう一時も離れてやらないからな 覚えて置けよ?いいな?」
聞けない俺は 小さなキスをひとつ 
「な~んだ そんなの全然オッケー カモンカモンだよ~」
偽りの欠片も無い笑顔
無いよな あるはずがない 腹に俺の子が居るのにそんな…
俺と子供を守ろうと東宮殿を出たチェギョンを疑うなんて…
「言ったな?忘れるな?」
二つで一つの物であるかの如く 片時も傍を離れるな?
離れていた半年間の苦しさ過るこの胸が 切なく軋む
「でも…目が覚めたら夢だったとか ナイよね?」
それはこっちの台詞だろ?やっぱりやめるはもう無しだぞ?
「そんなに心配か?どうしたら信じられる?」
今夜俺の腕を抜け出す事は 絶対に許さない
「ううん 夢なんかじゃない この匂いは本物だもん ああ 安らぐなぁ~」
鼻腔を擽る甘い香りを 俺も今一度胸に吸い込む
「ああ 俺もお前の匂い 今日は凄く安心するよ」
「え?今日は?今日はってどういう事?前は違ったの?」
「さあ…細かい事は気にするな」
ほんのひとときもすると 小さな寝息が聞こえてくる
相変わらず人の気も知らずよくもまあ…
でも チェ尚宮が夜毎泣いてたと言ったのが真実ならば… 安眠できたのも久しぶりなのかもな…
「チャルジャ チェギョナ」
スヤスヤと眠るチェギョンの唇の端に おやすみのキスを贈る


目覚めた時 心が震えた

チェギョンが俺の腕の中に居る

夜中に何度か腕の中で身じろぐ体を 離してなるものかと抱き寄せたが 今一度この腕に抱き寄せると… 目覚めたチェギョンが ほにゃりと笑った

目が合うと 恥ずかしそうに でも おはようのキスをくれた

「チャル…チャッソ?」

嗚呼…

たったこれだけなのに… どれ程胸に響くんだか

「ウン…」

俺たちの朝は もうずっとこうでないとな…

 

マカオへ来る飛行機の中ではすっかり不安に飲まれていたから

まさか 街中でエッグタルトを食べながらキスまですることになるなんて 思ってもみなかったな…

今日限りだが 束の間の休息は チェギョンの案内でマカオ観光

一般的な観光地ではなく この半年過ごして来た日常を案内してくれるとか…

 

手を繋いでゆっくりと歩く

歩き回って辛くないのかと訊ねると

「美味しい物を食べるためには お散歩くらいしなきゃダメなの

それにね いつも思ってたの 隣にシンくんが居たら良いのにって」

うっ 胸の奥がぎゅっと掴まれたような 幸福な痛みを覚える

俺を見上げてハートを飛ばすなんて… 不意打ちは 反則だぞ!

「ここで待ってて?!今最高に美味しいエッグタルトを買ってくるから!」

そう言ったかと思うと 小さな洋菓子店へ駆け出して行った

片足を少し引きずる後ろ姿

「チェギョン!走るなよ!」

「平気平気~!」

ったく振り向きもしない

先週体調不良を起こして婦人科に診て貰った事を 俺が知らないと思って居るんだから…

 

「これがもう絶品なんだ~

チェ尚宮お姉さんもね?

"妃宮さま 太りますよ"って言いながら 二つは食べるんだよ~ うふふっ」

ははっ 相変わらずチェ尚宮のモノマネがウマイな

 

「はいっ あ~ん」

突如突き出されたエッグタルトを 戸惑いながら一口かじる

「どう?どう?」

俺の顔を覗き込み 感想を心待にするチェギョンの唇の端に付いたタルトの欠片が目に留まる

「ひゃっ!んっ!」

「甘いな」

「んもう…なにすんのよ!////」

「品よく食べられないお前が悪いんだろ?相変わらずなんだな」

「言ってくれたら 自分で取るのにぃ…」

あ ソ・ジテとは… 食べて ないだろうな?

急に 不安になってくる

だってこの顔で子犬みたいにすり寄って来られたら こんな街中だって我慢できなくなるだろ?

 

俺の襲撃を物ともせず さっさと次のひとつにかじりつくチェギョン

「こらっ 一人で全部食うつもりじゃないだろうな?」

よこせ!

「うむむ んっ!ИД!∥!………まだ有るんだから新しいの食べればいいじゃん!」

「お前から奪い取って食べた方が上手いんだよ」

「っちぇ…」

その尖った唇をすかさずもう一度啄み 舌でなぞると 徐々に脱力する細い肩を抱く

甘い…甘いな…離したくない 通りを行く人の目も気にせず ずっとこうしていたい

エッグタルト味の甘いキスは 俺とチェギョンだけのマカオの秋の記憶

…だよな?

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
いかがでしたか?
はぁ~ シンく~ん//// 甘いのはエッグタルト?それともチェギョンの唇?

 
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