Power of Love 6~もしも私が踊るのを止めたりしたら インはきっと離れて行く | かおり流 もうひとつの「宮」

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このお話は インとヒョリンのサイドストーリー「Power of Love」です
初回は既に限定に変更済ですが
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http://blogs.yahoo.co.jp/mahonote18/12224839.html

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Power of Love 1~どうだった?うまくやれた?



でもある金曜の夜 ギョンから電話が掛かってきて…
番号は高校に進学して携帯を買って貰った時に教えたけど 一度も掛かってきた事なんかなかったから驚いた
急用かと思ったのに
「明日乗馬クラブで話そう」って…なんだろう?

雪の降り積もる土曜日に乗馬クラブか…ま いいけど
と思ったけどとんでもなかった

「どういうことなんだよヒョリン?」
私の顔を見るなり何?!驚いたわ?
「いきなり何の話?」
「昨日が初めてじゃないんだ ヒョリンはインに悪いと思わないのか?」
「だから何がよ?」
「噂はあくまで噂だ 俺達はヒョリンがインを捨ててシンに乗り換えるなんて思っちゃいないさ
だけど…火の無いところに煙は立たぬっていうじゃないか!」
第二外国語の授業中 インとシンをチラチラみてキャーキャー黄色い声がするのはいつもの事だと思ってたけど
その傍に居る私を指差して ヒソヒソ話す女子が そんな事を話していたなんて 全く知らなかった ただ羨まれているのかもね…とは思っていたけど…
ふぅ…なんなのよ!
「インに義理立てしろっていってるの?
で?私はギョンにどうしたらいいわけ?」
「義理立てってなんだよ?そんな言い方ないだろう!?」
「だって私たち付き合っちゃいないって 何度も言ってるじゃない」
「それでもインの気持ちは知ってるだろう?」
…カチンときた
どんな気持ちなのよ!
人のファーストキス奪っといて知らん顔するヤツの気持ちなんて知るわけないわ!

「知らないわ! 仮にインが私を好きだとしても それがどういう感情なのか 打ち明けられたことも ぶつけられたこともないもの」
私の剣幕に次の言葉が出て来ないギョンの代わりに ファンが口を開いた
「ヒョリン?まさか本当にシンが好きなの?シンもそうなの?」
はぁっ?!シンが好き?そうだったらなんだって言うのよ?悪い?
なんであなた達にそれを打ち明けなきゃいけないのよ!
シンも私を好き?
それはナイでしょ?だってシンは皇太子なのよ?
あ でも…
シンには 私以外に親しい女子なんていない…
「わからないわ… とにかく 当事者のふたりならともかく あなた達に先に話すことでもないでしょう?」
全く…馬鹿げてる 何にも知らないくせに!人の事に首を突っ込まないでよね!
頭に血が上るってこういう状態なのね!とイライラしながら厩舎へ向かう

やっと最近慣れてくれた馬に 挨拶をしていたら…
視界の端に シンが居た

シンの馬は 彼専用の愛馬
私は 彼の愛馬に挨拶をしたことが有る
優しい顔の真ん中に 額から流星と呼ばれる 白い筋が流れていて 鼻の少し上で一旦途切れているけど また鼻は白い
「流星断鼻梁鼻白 結構イケメン そう思うだろ?
あ でもコイツ雌なんだ 俺の事が好きなのか… 他の人間は乗せたがらない」
いつかシンが冗談っぽく教えてくれた 屈託のない笑顔

「シンは馬に愛されてるわね」
振返ったシンは 笑顔を作ったけど いつもと違う…
「ああヒョリン 今来たところか?」
宮と言うところは普通の人間には大凡理解不能なところ そんな風に言ってた事も有る
「ええさっき… シン 少し話せない?」
別に何も 話す事なんか無かった ただ ギョン達がうっとおしかったから
彼らが馬場に出てくる前に 煩わしい視線のない処に行きたかった 二人で
そんなブルーな感情が顔に出ていたのね
「深刻な話みたいだな…」
「ええ…ちょっと…」

馬場を出て速歩(ハヤアシ)で 人気のないところまで馬走らせる
後ろ姿が凛として 綺麗だった そうね ファン 私 確かにシンが好きだわ
ストーブの設置された小屋の長椅子に並んで座ると 私の口からはもう この言葉がするすると零れた
「あのね…
私 シンが好きよ あ 他の子たちの憧れとは違うわよ これは恋だと思う」
一瞬唖然とした表情になったけど
直ぐに元通りの顔になる そんなところは やっぱり普通の高校生では無いわね…

牧場の空気は頬が切れそうなくらい冷たくて…
私はストーブの上のやかんから出る湯気をじっと見つめたまま
彼はまた降り始めた雪を見詰めたまま

「俺は君の事 イン達と同様 友人のひとりとしか思ってはいない」
「ふふ 冷たいのね… いいの わかってる」
「なにを わかってるんだ?」
「皇太子さまを好きになったって 皇太子さまと交際できるわけなんか無いし」
「ふん…まあ それはその通りだな
俺がだれかと交際なんてしようものなら 即 妃候補かと報道されるだろう
皇室はその女を調べ上げ まず王族じゃないからとダメ出し
バレエを捨てて結婚する意志があるのかと問われるだろう」
そんなこと解ってる!!バレエを捨てる?そんなこと有り得ない!
シンが皇太子を辞めるのと同じくらい有り得ないことなのに!
「いいわ もう!やめて! そんな話じゃないのよ」
「じゃぁどんな話なんだ?」
ギョンは…インに義理立てしろと言ったけど インは私なんか好きじゃないのに…
みんな知らないのよ…インが好きなのは 私が踊ってる姿
考えすぎるなと言ったわ? ただ踊れと…
もしも私が踊るのを止めたりしたら インはきっと離れて行く
「私が… インを好きであって欲しいと みんながそう望んでいるから
息苦しくて… 率直に ただ私はあなたを好きなんだと 言っておきたかっただけなの」

シンは 次の言葉を発するのに 結構時間が掛かった 
「それはまた… インを好きじゃないのか?」
ほうらね… この人もやっぱり インを好きであるべきだと思っていたんだわ
インは… ずっと傍に居て応援してくれる人だった…
でもあれから何かが違ってしまった

「好きよ うん… 正直大好きよ でも彼が私を好きなのとはきっと違うと思うの…
彼は… 私とゆうより バレエに夢中な私が好きなの なんだろう… 熱狂的ファン?みたいに
いつも応援してくれて いつも支えてくれて いつも大切にしてくれる」
「それは悪い事なのか?」
私は 目を丸くし 唇をへの字に曲げ 肩をすくめるしかない
悪くは無いわ… でも…解らないのよ… インが私をどう思っているのか さっぱり…
「だって 私がバレエをできなくなったらどうなるんだろうって 考えるじゃない?」
「そんなものなのか?」
「そりゃあそうよ いつまでも踊れるわけないわ」
「まだ学生なのに もう踊れなくなった時の事を恐れてるのか?」
「うん…恐れてる インに愛され続けるには 踊れなきゃだめなの だからいつも必死なの…」

もしかしたら私 キスされて これから何か変わるのかと 期待したのかもしれない
でも
変わる?そうね 変わったかも
普通なら恋人同士がキスしたら それからだんだん近づくものなんじゃないのかしら…
でも 友達だった私達は なんだか… 随分遠くなったように思える
好きじゃないのかって言った?
違うわ 好きとか言う以前に 傍に居てくれなきゃならない人

―皆にインを好きだと決めつけられるのが嫌で 俺を好きだとか言って置きながら インに愛されたがってる―
シンが 不愉快そうにそう言って苦笑いした
むうぅ!違うのに…
急に踏み込んできて 唇が触れた途端に 何か違うと気が付いたかのように
ぷいと何処かへ行ってしまって…
彼も踊ってる私以外に興味が湧いたけど…やっぱり違ったとでも思ったのかな?
踏み込まれたくも無かったし 離れて行くのも嫌
…ずっとそこに居て欲しかったダケなのに
でも 他の子と笑い合ってるインを見て腹が立った 誰にでもこうなの?!って
私の知らないインを他の子が知ってるなんて…
なんだか 私のものでもないのに 盗られたみたいで嫌だった
「う~ん… 矛盾してるわね…」
さっぱり解らないわ?
とにかく こんなの恋じゃ無い! ちっともトキメキなんか無いもの!
「でもなんとなくわからない? インのことは恋とは違うの…」
「ふん… 随分むずかしいんだな… でも結局はインが大切なんだろう?」
「そりゃあ… そうなんだけど…」

なのにシンは 思い過ごしでは?と言った
案外インは 私をただの一人の女として 好きかもしれないって
男友達同士他愛無い話の中で インが 私を好きだと感じるから
だから皆 私にもインを好きで有って欲しいと望むんだと…

「インって… そんなに私の話をするの?」
シンは目の前の雪を眺めながら暫く思い巡らせて こう言った
「ああ するな」
その口調が とても 真実っぽかったから…
甘酸っぱい感情が胸に広がり始めた 
「ああ だって するんだ 君が好きなんだよ 許してやれよ
君が踊る姿を好きなだけじゃない 保証するよ
心配ない 君が踊れなくなっても インは変わらず君が好きなはずだ」
そう言われて…
なぁんだ イン やっぱり私の事好きだったんだ
なんて…
ずっと淀んでいた霞が晴れたみたいに スッキリしはじめた
じゃぁ… 素っ気ない素振りは 照れ隠しだったの?
ひとりでモヤモヤして…馬鹿みたいじゃない!

「ありがとう そう言ってもらえて なんだか心が軽くなったわ
ずっと 不安だったのかも インの愛は踊る私だけに注がれてる気がしてて…
あまりにも献身的に バレエに打ち込む私を許して 支えてくれるから」
キスしたのに…なかった事みたいに振舞われて 後悔してるのかと思ってた
そのことは流石に言えなかったけれど 本当に インとシンが友達で良かったと思った

「もっと自信を持てよ 君はバレエをしなくても 美人で 乗馬も上手い」
「お褒めに預かり光栄ですわ 皇太子殿下」
「はは あはははは」
声を上げて笑った シンとふたりで
笑っているうちに ふと思った
シンが恋の相談に乗ってくれるなんて…普通の高校性みたいに恋でもしてるのかしら?
「ねぇ あなたは好きな子 いないの?」
サァッと顔色が変わった 図星だと一目で解った
驚いたわ?シン 貴方がそんな顔するなんて…
それからすっかり
シンの初恋 シン・チェギョンのことを 洗いざらい全部聞き出しちゃった
「もしかしてコレが…」
なんて言うシン 可愛いとさえ思えたのは初めてだった
ふふふっ ソレが 恋じゃ無くて何だって言うの?
私は恋する少年 イ・シンが 益々好きになった

 
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