花巻東高校の佐々木選手がスタンフォードに入学ー「やっちまったか」? | 日本ファミリーオフィス協会

花巻東高校の佐々木選手がスタンフォードに入学ー「やっちまったか」?

先週は花巻東高校の佐々木選手が、米国の名門スタンフォード大学に入学することがワイドショーで話題となった。昔はアメリカのトップ大学は東部3大学(ハーバード、エール、プリンストン)だったが、今ではスタンフォードを入れて4大学になっている。それほどの名門で、世界ランクも一位になることもある。

 

日本で最高ランクは東大の30位で、早慶にいたっては500番以下だ。佐々木選手もご両親もそのあたりは調べたはずで、「スタンフォードに入れれば大得」と考えたのも無理はない。確かに日本の大学の「入れば卒業」という環境ではそうだろうが、アメリカの習慣や価値観は大きく異なる。

 

アメリカでは大学は「卒業できなければ入学しなかったと同じ」なのだ。冷静に考えれば当然だ。大きな大学には日本でも同窓会組織(〇〇クラブという)があるが、基本は卒業した人間のみが入れる。だからハーバードに合格しても1割以上は「辞退者」が出る。卒業できる自信がないことが主な理由だ。他方、東大は名門医学部に行く人以外、基本的に辞退者ゼロだ。

 

スタンフォードは東部の大学と違って、なぜか「スポーツ枠」がある。タイガー・ウッズなどがこれで入ったがさすがに卒業はできなかった。佐々木選手もまずは英語が壁になるだろう。普通のアドミッションだと、スタンフォードの学部には灘や開成のトップが受けても受かるかどうかというレベルだ。

 

しかもアメリカ社会は「フェアネス(公正)」を重んじるので、大学の入学時には寄附とか親が卒業生、全米一のスポーツ選手などには優遇制度はあるが、入ってからは全員全く同じ基準で成績が付く。そこでフェアネスを保っている。「卒業できなければ入らなかったと同じ」という原則からいうと、結果的に全くフェアだ。

 

もちろん、佐々木選手もこのあたりの「基本」は分かっての入学だろうが、はっきり言って「学業と野球の両立」は相当難しいだろう。というか、語学のハンデがある日本人が、まさに灘や開成のトップでも、24時間勉強しても普通の成績を取るのが難しい現実がある。

 

なかなか前途多難だが、それでも佐々木選手の「挑戦」は大いに称賛されていい。