初年度の慶應ビジネススクールの講義は終了ー来年に向けていくつかの課題が | 日本ファミリーオフィス協会

初年度の慶應ビジネススクールの講義は終了ー来年に向けていくつかの課題が

今年の慶應ビジネススクール(KBS)での初年度の「ファミリービジネス概論」が終了した。30数名の成績も提出し一段落だ。成績というのは付けられるのも嫌だが、付ける方はもっと厳しい。何らかの理由で途中から授業に出れなくなった人には、その前にいくらいい発言をしていてもDROPを付けざるを得ない。

 

まあ、それぞれの受講者がこの講座で「持って帰れたもの」があればいいので成績は二の次だが、ビジネススクールの授業料は高いので、講師はそれなりの質の授業を提供しなくてはならない。初年度の9回の講義を終え、多くの課題が出てきた気がする。

 

まずは「受講生ファースト」の見地から、受講生のニーズに応えられたか?初年度でどういう属性の学生がいるか分かったのは9月の初めだったが、やはりKBSはファミリービジネスの後継者候補が多い。企業派遣の方々は派遣元がファミリービジネスが多かったが、問題は若い後継者の方だろう。来年はこの層に絞った講義をしたい。

 

第2に慶應義塾の本旨である「実学」ができていたか?そもそも、KBSは私のゼミの指導教授であった石川忠雄先生が慶大塾長になって「実学を体現するにはどうしたらいいか」と考え1978年につくったものだ。受講生にすぐにでも役立つものになっていたかどうか?まだまだだ。来年はファミリービジネスの後継者候補にもっと自社の強み、弱みを発表してもらい、皆で議論するような場をつくりたい。

 

まだまだ試行錯誤だが、日本でファミリービジネスの授業が始まったのは2011年に明治大ビジネススクールで青井倫一先生(元KBS校長)と私が始めた「ファミリービジネス論」だった。それから10年以上たって、どれだけ進化したかを聞かれると正直心もとない。

 

海外の「ファミリービジネス」の授業も参考にしているが、「日本型」はかなり違う気がしている。ハーバードやケロッグやIMDの授業の真似をして、外国企業のケーススタディをしても日本での「実学」とは程遠いだろう。

 

来年からはしばらく「日本型ファミリービジネスの実学講座のあり方」を探ることになるが、1、2年でいい解を見つけたい。