金融審議会ワーキンググループの報告書を読んだ感想ー真っ当な意見で何がおかしい? | 日本ファミリーオフィス協会

金融審議会ワーキンググループの報告書を読んだ感想ー真っ当な意見で何がおかしい?

今話題の「2000万円報告書」を読んでみた。麻生さんは読んでないようだが、50ページのスッと読めるものだ。ワーキンググループのメンバーも半分近くは面識がある方々で、皆、尊敬できる人々だ。金融商品、投信を「売る」側に立つ人が多いという印象を持ったが、内容的に仕方ないかもしれない。

 

一読した感想は「何がいけないの」だ。多くの人が同じ感想を持つのではないか。この「2000万円足りない」中には海外旅行などの「せいたく」は入っていないと思われ、個人的には実際にはこれ以上必要なのでは、と感じている。しかし、それでも「2000万円」が問題になっている。

 

こういう試算は常に「前提」が重要になるが、男65歳、女60歳以上の夫婦のケースで試算しているようだ。問題は、「それより若い層はどうなる?」ということだ。もちろん、実際にはそれより若い人々の方が多いので、年代別の資産がほしかったところだ。まあこれは自分でも概算はできるが。

 

言うまでもなく、若い層だと「2000万円」より多くが必要になる。自民党がより恐れているのは、日本人は賢いので「実際には2000万円どころではない」ことに気づかれることではなかったかと個人的には考える。

 

金融庁の基本的立場は「貯蓄から投資」へだ。麻生さんもそれには賛成しているはずだ。しかし、いざ投資を行うにしても日本には「いい商品」がないのが問題だ。周囲が「投信を買ったらこんなに損をした」などという人ばかりだと「やはり現金で持っておいたほうが安全」となってしまう。

 

しかし、日本にも全くいい商品がないわけではない。日経新聞でも報道されたが、昨年の投信で最も成績がよかった(唯一のプラス)だったのは、東京海上アセットマネジメントのオーナーズファンドだ。これは同族企業の「強さ」に着目して

同族企業に特化し投資するファンドだ。これは「週刊エコノミスト」の5月21日号で詳述させて頂いた。

 

月並みだが、結局は「よく働き、よく投資する」しか自衛の手段はないということだ。もはや国には頼れず、日本も「自己責任の時代」に本格的に入ったことを改めて認識させる一連の事象だった。