中村修二さんがついにノーベル賞ー日本企業の特許概念に一石 | 日本ファミリーオフィス協会

中村修二さんがついにノーベル賞ー日本企業の特許概念に一石

中村修二さんがノーベル物理学賞を受賞した。もともとノーベル賞は時間の問題だったので意外性はないが、今年になるとは思わなかった。この方には、私が経団連で知的財産を担当していたときに話を伺ったことがある。


1990年代後半だったが、自らの発明をめぐって会社とトラブルになり、多額の訴訟を起こしたことで話題になった。アメリカでは発明は個人に属するが、日本では当時はまだまだ知的財産権に関する意識が低かったようだ。日本の裁判所は最初、会社に200億円の賠償を命じたが、それが中村さんに支払われることはなかった。


中村さんの発光ダイオードの画期的な発明はアメリカ企業でやったら、まさに数百億円の報酬があっただろう。それほど会社には貢献していたし、社会に与える便益も大きかったのに、残念なことになり、中村さんはカリフォルニアの大学に映った。


中村さんが属していた会社は徳島の中堅企業だったので経団連の会員ではなかったが、大企業にとっても他人事ではない訴訟事件だった。多くの知的財産の専門家が関心を持っていた。組織プレーを重んじる日本企業では、大発明をしてもその所有権が個人に属するという概念がない。また、「これは俺の発明だ」などというとKYと思われるのがまだまだ日本の会社の実態だろう。


しかし、中村さんの提訴により、多くの日本人が会社における個人の役割を考えたのも事実だろう。組織に天才がいて、その人が大発明をしたらどう扱うか。大企業では報奨金を出すようだが、その額はアメリカなどに比べると圧倒的に少額だ。


天才を伸ばすアメリカ社会と出る杭を打つ日本社会の一つの例でもある。やはり天才はアメリカの大学にでもいってノーベル賞を目指すしかないのか。未だにそういう状態にあるとすれば悲しい話だ。


こと経済学でも、残念ながら日本の大学でノーベル経済学賞の候補はいない。亡くなられた宇沢弘文・元シカゴ大教授はノーベル経済学賞候補であったと言われるが、どこまで真実なのかは分からない。浜田宏一教授もそういうウワサが一時あったようだが、さすがにウワサだ。浜田教授によると、宇沢門下のプリンストン大清滝教授はノーベル賞の可能性が本当にあるようだ。清滝さんが逃すと、しばらく経済学賞はないだろう。


日本人は物理や化学、医学生理学では結構ノーベル賞を取っているが、経済学で取らないと文系人間としては寂しい。もっともアメリカの経済学大学院では数学科出身の人間が多いので、経済学が「文系」とは言えない面もあるが、ともかく早くノーベル経済学賞を取る日本人が現れてほしい。