日本は「プロパテント」の国になれるかー元特許庁長官の荒井寿光さんの主張
昨日の日経「経済教室」は元特許庁長官の荒井さんの論文だった。荒井さんは通産官僚で人事ローテーションでたまたま特許庁長官になったと思うのだが、その後は一貫して特許のこと、特に「プロパテント」(特許を国家戦略にする)の主張をされている。これはご本人の信念だと思われる。
荒井さんは通産の事務次官候補として、もちろん名前は存じ上げていたが、実際にお会いしてお話したのはハーバードクラブの席上だった。若いころケネディスクールに留学されていたそうだ。その後、たまたま路上で2度ほどお会いして、何となく不思議な縁を感じている方だ。退官後は日本貿易保険の理事長などをされていたが、その時にもプロパテントを主張されていた。
私も経団連で何年か、知的財産権を担当していたが、プロパテントの問題意識はあったが、本当に日本が特許を国家戦略にできるかについては若干懐疑的だった。確かにデータ上は日本の特許件数は世界一、二だが、アメリカのように戦略的に活用しているとは言いがたい。企業でも特許には力を入れているとは言い難く、特許部門から役員になったのはキヤノンの丸島・元副社長くらいだった。
なかなか日本企業、日本社会の特許に対する見方が変わらないので、荒井さんが機会あるごとに主張されているわけだが、冷静に考えるとこの主張は的を得ている。もはや日本にはものづくり、それに伴って発生した特許くらいしか世界に誇れるものはないからだ。
早く日本人もこの事実に気づき、特許で国の退勢を支えていくくらいの国策を立てれば、衰退の速度を遅くすることができる気がする。