エール学派対シカゴ学派ー日銀の中はどうなっているか | 日本ファミリーオフィス協会

エール学派対シカゴ学派ー日銀の中はどうなっているか

どうも浜田宏一教授の「日銀批判とインフレターゲット論」が気になって、今日は浜田教授が自らの「英語の先生」と言っている三好正也(当協会理事、元経団連事務総長)の事務所を訪ね、懇談した。結論からいうと、三好案では日銀の白川総裁はシカゴ学派(新古典派)だから自由放任主義で、ケインズ的な政府の裁量によるインフレターゲット論とは相容れないのでは、ということだった。


もっとも、浜田教授の最新刊にもそういうことは書いてある。しかし、現在の情勢では各国ともケインズ経済学に準拠して政策を進めているように思える。むしろシカゴ学派が死んだように見える。そこで思い出したのが、日銀からはエールの経済学大学院に毎年一人派遣していることだった。


もう40年以上前から日銀はエールに派遣しているので、相当な数だ。理事にもいるはずだ。総裁がシカゴ学派だから政策決定はそうなってしまうのだったら、これはおかしな話だ。浜田教授が怒るのもよくわかる。逆に日銀にエールで学んだ人が多いので、常にケインズ政策を採っていたら、それもおかしいと言わざるをえない。


三好が言うように、デフレがいいという人もいるしインフレにならないと困る人もいるので、政策決定者がどこを見るかにより政策は変化するはずだ。年金生活者などはインフレになったら困るし、株や不動産を持っている人はインフレにならないと価格は上がらないので困るといった具合だ。でもトータルで考えると、若干のインフレが好ましいと考える人が一番多いと思われる。


エールにいるときに日銀の方とよく雑談したが、法学部出身なのに経済学のこともほぼ完璧で驚いた。こういう優秀な人の集まりなのに、もし視点が自らの組織のことだけで一般国民に向いていないのなら、これは残念なことだ。優秀な頭脳を国民生活向上のために使ってほしいと切に思う。