欧州でのファミリーオフィス成功例ーロンバー・オーディエの河田さんの話
一昨日、ロンバーの河田上席副社長(ジュネーブ本部)と懇談した際、短時間ではあったが示唆に富む話が多かった。詳しくは研究会で聞けるだろうが、私にとって「やはり」と思ったのは欧州でのファミリーオフィスの成功例の話だった。
アメリカでは、独立系FPや弁護士、会計士が一人か二人でファミリーオフィスをしている例が結構多かった。その人たちは5家族くらいの超富裕層に絞り、コンシェルジュ的なサービスをしているのだ。それでかなりの収入がある。河田さんによると、ヨーロッパの典型的な成功しているファミリーオフィスは、3家族くらいの超富裕層を顧客にしているという。問題はなぜ、「3から5家族のみか」というところだ。
これについては、私のやり方、考えと全く同じだった。つまり、超富裕層は基本的にわがままなので、自分のニーズを言ったらファミリーオフィスで「すぐに」その問題を解決してくれなければ気が済まないのだ。仮に、20家族くらいの世話をしていると「すぐ」には動けない。超富裕層は基本的に勘がいい人なので(経営の勘だ)、ファミリーオフィスが顧客数を増やしてサービスの「スピード」が落ちたことはすぐに察知するのだ。
だから、3から5家族しか相手にできない。それが限界だ。それ以上増やすと顧客を失うことになる。逆にだからこそ、資産規模の大きな家族を相手にしないと経営は成り立たない。どちらが卵か鶏か分からないが、結果的に欧米でもそうなっている。日本でも基本的に同じと考えられる。日本の金融機関は「プライベートバンキング部」といっても一人が50人以上を担当しているので、とてもきめ細かいサービスはできず、顧客は幻滅するのだ。
超富裕層は「スピード」が重要なので、常に体を空けておかねばならない。スイスの本格的なプライベートバンクのファミリーオフィス部隊もそうしているという。顧客の資産も数百億規模なので、一家族に一人を割り当てることが十分できるのだ。