トーマス・スタンリーの近著は「金持ちぶった人のマネはするな」ー本当のお金持ちの生活とは | 日本ファミリーオフィス協会

トーマス・スタンリーの近著は「金持ちぶった人のマネはするな」ー本当のお金持ちの生活とは

アメリカで「となりの億万長者」というベストセラーを出したトーマス・スタンリーという学者がいるが、この人が「金持ちのふりをした人のように行動せず、本当のお金持ちのように生きることを始めよ」(邦訳:お金がいやでも貯まる5つの「生活」習慣)という本を出した。これはいろいろと示唆に富むことが書かれている。


たまたま、私が日経系の雑誌「ファンド情報」の連載で、「本当のお金持ちの生活ぶり」というテーマで原稿を書いていたので、このスタンリーの本を参考にさせて頂いた。結論をいうと、スタンリーの描くアメリカの本当のお金持ちと日本の本当のお金持ちとは全く同じ生活をしているのだ。


スタンリーは学者なので、アンケート結果の分析という手法だが、私は実務家なので実際の「超富裕層」の生活ぶりを紹介できるという点が異なる。やはり、「実物」がないと机上の空論になりかねない。また迫力も違うのだ。但し、本当のお金持ち(○○財閥の御曹司とか)は表に出たがらないので(自己顕示はもはや必要ないので)、実名では紹介できないというもどかしさはある。


スタンリーの本をかいつまんでまとめると、本当のお金持ちの生活は「質素」の一言につきる。例えば、時計はセイコー、車はトヨタ、ブランド品は持たず、高級レストランもワインも飲まず、別荘は持たない。逆にブランド品で身を固めている人には「お金持ちぶって」いる人が圧倒的に多いようだ。これはまさに日本人にも当てはまる。


私の知る限り、日本人の「本当のお金持ち」は例えば伊藤公一さん(伊藤忠、丸紅の創業者一族)、「お金持ちぶっている人」はいろいろいるが、有名人では小室哲哉だろう。伊藤さんの生活ぶりは、まさに「セイコーとトヨタ」だ。衣の分野では「ユニクロ」が加わる。もちろんどんなブランド品も買えるのだが、「費用対効果」にこだわるという。この点、アメリカの本当のお金持ちと全く符合する。


他方、小室哲哉の場合は、自分に自信がないせいか、あるいは貧しい生まれを隠すためなのか、自己顕示欲が強く異常にバブリーな生活をしていた。その陰で借金地獄に陥っていたとは普通の人には分からない。だが、日本でもこういう人は我々の周囲にもよくいる。知合いの会社が倒産した後で、「あれだけ景気がよさそうだったのに、、、」と周囲の人が噂話をするのはよく見聞きすることだ。


まさにスタンリーがいうように、テレビなどで見る自称セレブ=「金持ちぶった人」のマネをすると自分まで破綻の憂き目にあう。実際に本当のお金持ちに会う機会はなかなかないが、彼らは本当に質素で倹約家だ。そして余ったお金は、「生き金」として寄付している。それも意味のあるところにだ。セイコーグループの総帥だった服部一郎さんが母校エール大に10億円の寄付をしたように。これも多くは匿名であることが多いので気付かない。


ということで、本当に富裕層ビジネスをしたいのなら、こういう超富裕層の本質を知らねばならない。日本で富裕層ビジネスが失敗している大きな原因は、富裕層の生活や考え方を知らずにやっているからなのだ。