水村美苗さんの日本語論ー英語を学ぶときも日本語が基礎
昨日の日経の夕刊に水村美苗さんが出ていた。それで水村さんのことを思い出していた。
私がエール大学に留学しているとき(1990から91年)に、エール大卒の水村美苗さんが「続明暗」という本を書いたのが日本で大きな話題になった。私はアメリカで日本の新聞を見て知ったのだ。すごい人がいるものだと思ったが、この人はエール大経済の大先輩である岩井克人さん(東大経済学部教授)の奥さんであることを後で知った。
時は過ぎ、2000年に私は経団連の広報にいた。経団連の月刊誌のエッセーコーナーに水村さんに登場してもらうことを思いつき、エールの名簿を見て電話をした。すぐにご快諾頂き、ほどなく打合せをさせて頂いた。
その時に、岩井教授の話でもしようと思っていたが、なんと水村さんから「あなたは英語はできるの」と聞かれた。
「できません」と私が答えると「では日本語は」と聞かれた。「それも自信ないです」と答えると、日本語ができないと英語もできないという持論をご説明された。昨日の日経の夕刊がまさにそういう内容だ。
私からは、「それもそうですが、むしろ私はアメリカに行ってアメリカ人から日本の歴史のことを聞かれ、向こうで日本史の勉強をかなりやった」という話をしたら、納得したような感じだった。やはり、国際化、英語の時代とはいっても、日本語や日本の歴史が分かっていないと、そこから先へは進めないのだ。
昨年、水村さんは「日本語が亡びるとき」というセンセーショナルな本でまたまた話題をさらったが、国際化時代だからこそ、自国語の重要さに日本人は気づくべきだという警鐘であり、当たり前のようで気が付きにくいポイントだ。