マイケル・ジャクソンと金銭教育の無用さーアメリカの報告より
マイケル・ジャクソンが悲惨な最期を遂げた。いや、いつかはこういう結末になることは、誰でも想像できたのではないか。世界一のスーパースターも最後は借金まみれだった。もっとも、資産が天文学的だったので、トータルではまだまだ残っていたようだが、日本でも小室哲哉氏が、スケールは違うものの、やはりお金で苦しい状況になっている。
でもここで、ちょっと「金銭教育」に興味のある人なら、「日本はともかく、アメリカのように世界一の金銭教育を誇る国でもマイケル・ジャクソンのような人がなぜ出てくるの?」という疑問を持つだろう。しかも、これほどの資産を持ったなら、アメリカなら当然、アドバイザー(いやファミリーオフィスだろう)をつけていたはずだ。なぜこうなってしまったのだろうか。
私の想像はこうだ。マイケル・ジャクソン、いや小室哲哉でも、資産に関するアドバイザーはいた。しかし、彼らのように一つの分野を極めると、自分は何でもできると勘違いして、アドバイザーのいうことには耳を傾けなくなったのが一つの原因(少なくとも小室はそういう指摘をされている)。もう一つは、そもそも学校での「金銭教育」は
意味がない、ということである。
学校での「金銭教育」の無用さについては、本年2月に「シカゴトリビューン」がおもしろい記事を載せた。「金融リテラシー教育は有害ですらある」というものだ。概要は、こういう教育は生半可な知識だけを身につけ、誤解に基づく自信だけがつくため、いきなり株などを買って大損する傾向がある、というものだ。その通りだろう。
でも、なぜアメリカで金銭教育が盛んなのかーこれはこういう分野に「既得権益」を持っている人がいるからだ、と
シカゴトリビューンでは明言している。日本でも、「評論家FP」(お客さんはいなくて、金融機関にくっついて講演や執筆を業務としている人ーよくマスコミに登場するものの稼ぎはあまりないのが特徴)がよく日経新聞などの証券会社の広告で、「わが国でも金銭教育が必要だ」とか言っている。アメリカでもこういう人がたくさんいるのだ。
本当に有用な金銭教育とは、、、親などの親族から日常的に教えられるものだ。安田家、住友家、服部家などの
代々の資産家の方々に聞くと、お金の使い方は親から教えられたという。マイケル・ジャクソンなどは、成金の悲しさで教えてくれる親族がいなかった。お金持ちになってからはアドバイザーのいうことなど、ばかにして聞けなくなったのだろう。これは多くの一代でお金持ちになった人の特徴だ。
日本でも「小中学校で金銭教育が必要だ」などの論調が見られるが、これは「既得権益」を持っている人の宣伝かもしれない。気をつけたい。