久々におもしろい日経の「経済論壇」ー御用学者にはご注意
5月31日(土)の日経経済論壇は久々に面白い内容だった。東大の松井教授によるものだが、大不況時の経済学者の中で「真の専門家を見抜け」というタイトルだ。4人の経済学者が挙げられているが、岩井克人、吉川洋、浜田宏一(自称、学界のハマコー)の3人はエール大経済学大学院の大先輩だ。
それぞれの主張はともかく、この論壇の最後の文章がおもしろい。「官僚機構に取り込まれた学者や似非エコノミストを見抜き、そうした人々の言説に耳を貸さない良識を多くの人が持つことが肝要」というわけだ。これはいくら強調してもしすぎることがないほど重要なポイントだ。
世間では、「マスコミに出る有名な学者」の言説こそ真実だと思う人がいかに多いか。私は経団連時代に多くの政府審議会に出て、どういう人が審議会の会長、委員になっているかがよくわかった。そもそも審議会とは、役人が自分たちの意見を通すために、その隠れ蓑として使っているのが一般的だ。しかも審議会の事務局は役人がやっているので、人選も役人がする。役所にとって都合のいい意見を言ってくれる人、役人の意見をそのまま受け入れてくれる人が会長になる。
こういう人はマスコミ受けもいい。メディア側が言ってほしいことを素直に言ってくれるからだ。つまりノンポリで自分の意見がない人だ。でも有名で、審議会の会長もしている。ある雑誌ではこういう人を「社会的便利屋」と
評していたが、うまい表現だ。要は御用学者だ。
問題は日本人がこういう有名な御用学者が言うことの「背景」を見抜けるほどの民度があるかだ。否であろう。逆に、マスコミへの露出を拒み、本当にいい意見を言っている学者の言説に耳を傾けるだろうか。これも否である。
だから経済学者でも有名な人のことを信じてしまい、社会は官僚の思うように動く。それが正しければ問題ないが、現実には逆のことも多い。
そういう自分自身も経済学者ですら、誰が本物で誰が偽者か100%判別できているかは疑わしい(だいたい、分かっているが)。良識を身に着けるように、日々の鍛錬しかない。