ハーバードのOB会に参加ーUNDP(国連開発計画)の活動を聞く
昨日はハーバードOBの研究会があった。講師は村田UNDP(国連開発計画)駐日代表だ。
最近はUNDPも地球温暖化問題がメインイッシュのようだ。但し、一般的な先進国も排出量を減らすという
切り口ではなく、あくまで途上国の視点からこの問題を検討している。
私は超富裕層を顧客とする仕事をしているが(ファミリーオフィス)、世界にはこの対極に立つ人の方が圧倒的に
多い。世界人口の約半数(30億人)は一日2ドルで生活している貧困層だ。まだまだ世界中を見渡すと途上国の
方が多いし、貧困問題というのは地球温暖化の比ではない重大な問題なのだ。
村田代表からいくつか問題提起があったが、私がおもしろいと感じたポイントを整理してみる。
第一に、人間は衣食住のうち衣と住が不足してもそんなに不機嫌にならないが、「食」が不足すると不機嫌になり
紛争が起こり安くなるというデータがあるそうだ。だから、国連UNDPでは、だいたい次にどこで紛争が起こるか
予想しているという。
第二に、日本のユニークさは途上国(特にアジア、アフリカ)と共存している数少ない先進国である点。
さらに、日本の特長は「技術」にある点。自動車に代表されるように日本は「大きいものを小さくする技術」は世界一なのだそうだ。そういわれれば、その通りだと納得できる。
第三に、アメリカオバマ政権はブッシュ時代の「一国主義」の失敗から、「国連重視」に変わってきていること。
温暖化関係では京都議定書の枠組みにアメリカは入っていないが、今度のポスト京都議定書では入ってくる
予定だ。アメリカが交渉に入ってくれば日本にとっても手ごわい。日本も国連重視の姿勢が必要だろう。
第四に、一言で経済の「国際化」と言った場合に日本人は先進国間の国際化を考えるが、途上国を含めた
国際化は先進国間とは全く異なる。先進国間では企業の力が強いので安心して企業同士で契約できるが、
途上国では企業にも国の関与が強いので、企業間で合意しても政府の意向を確認しないと契約は反故に
される可能性がある。商社はそういう点で苦労しているようだ。
最後に村田代表も、ハーバードに行ったことの意義は「素晴らしい人たちと出会い、国内外に素晴らしい人脈
ができたことだ」としみじみと語っていた。
今週は金曜日にMITの研究会があるが(私は準会員)、こういう場所に出ると最新の情報や新たな人脈が
できるので時間の許す限り参加している。