水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」 | 日本ファミリーオフィス協会

水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」

水村さんの新著「日本語が亡びるとき」が大変売れているという。この種の本で5万部というのは大変なことらしい。先週土曜日の日経新聞で大きく取り上げられた。


水村さんはエール大の大先輩で、エールで文学を専攻された方だ。20年ほど前の「続・明暗」は大変な著作だ。

何といってもあの夏目漱石の未完の大作「明暗」の続きを書いて、完成させてしまったのだ。普通の日本の作家

では考えられないことだ。帰国子女の水村さんでなくしてはできなかった発想だろう。


新著のタイトルは「日本語が亡びるとき」というセンセーショナルなものだが、中味はいたってまともだ。夏目漱石や森鴎外といった日本文学の正典を日本人の皆が読もうよ、というのが趣旨だ。でも皆、タイトルに目を奪われる。この本が、夏目漱石を皆で読もう、などというタイトルだったら全く売れなかっただろう。本のタイトルはセンセーショナルでないと売れないことがよくわかる。


英語の時代だから、あるいは日本経済が衰退に向かうから「日本語は亡びる」とは誰も考えはしまいが、

少なくとも私がアメリカに留学していた1990年初頭は、アメリカでも日本研究が盛んで、日本語を学ぶアメリカ人が多かったのは事実だ。


ハーバードの寮(100名)で日本人とバカな話しをしていたら、隣にいたアメリカ人に日本語で「話しは全てわかった」といわれ仰天したものだ。そのアメリカ人はアメリカで日本語を学んだだけだそうだが、漢字もそこそこ書け

本当に1年で週3時間くらいの勉強でそこまで伸びるものなのか、恐ろしささえ感じた。そのころは、日本が注目されていたので優秀な学生が競って日本語を学んでいたのだ。


ところが、今は日本語を学んでいるハーバードの学生は数えるほどしかいないそうだ。さびしい話しだ。そういうことから海外で「日本語は亡びる」可能性はあると思っている。