昨年日本公開されたオリヴァー・ストーン

のドキュメント映画の原題は『JFK再訪:鏡越

しの視界』で邦題は『JFK新証言:知られざ

る陰謀』だった。

 映画の初披露が2021年、日本公開が2023

年で今は特定のテレビ放映局で視聴できる。

 何度か解説したが、映画の中身は延々続く

陰謀捏造で、映像を裏焼きして反転させて

陰謀説に都合の良いように改竄したり、

ウーピー・ゴールドバーグが「陰謀の証拠書

類」を読み上げるが記載内容を無視した捏造

だったり、アルツハイマーと思われる人の

証言や明らかな偽証をそのまま事実認定した

り、アメリカ公文書館で証拠の実物を確認し

て嘘の報告をしたり…と、全編にわたる嘘の

オンパレードで、いくつかの点では出演者と

脚本家は嘘を認めている惨状だ。

 問題は、映画の内容のほとんど全ては10年

~20年以上前に出た出涸らしで、反陰謀派の

検証の結果デマと確定していたことだ。

 なぜこんな古臭いデマに『新証言』という

タイトルが付くのか不思議だった。

 映画を観た人ならわかるが、特にケネディ

の傷やレントゲン写真や遺体写真を巡る調査

や証言は1990年代後半のARRBの産物で、

映画公開の20年以上前に公開された物で、

今更その検証結果に「新証言」なんてあまり

にも大げさだった。

 ここ日本ではこの手の情報と、研究家や

「陰謀の目撃者」の陰謀捏造と偽証・妄想妄

言について知るのは奥菜秀次ただ一人なの

で、それ以外の日本人には目新しく新鮮なの

でふた昔前の嘘に「新証言」とレッテルを

貼っても「『日本人にとっての新証言』」

という意味では嘘でも誇張でもないのだろ

う。

 こんな馬鹿嘘に興奮して高揚感を味わえる

点では、案外無知蒙昧の思考停止も悪くない

のかもしれない。