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 ケネディ暗殺陰謀説は暗殺研究家と”陰謀の目撃者”がグルになっ

て捏造した、というのが筆者の結論だが、このブログの読者や筆者の

本の読者でもそれを信じる人は少ないだろう。

今回は、研究家の行った数多くの隠蔽と捏造の中でも典型的なケース

を紹介しよう。

 ケネディとコナリーの二人を貫通した銃弾、ウォーレン委員会証拠物

件399号は通称”魔法の銃弾”と呼ばれた。

 委員会の結論を事実とした場合弾が奇妙な弾道を描いたことにな

る、という話が研究家の捏造だったことは既に解説したが、彼らによ

ると、この弾自体も委員会の嘘の証拠だという。

 資料集の写真がこれだが、若干の反りは確認できるが確かに傷も

なく(unscratch)原型のまま(pristine)に見える。



 この弾はケネディの右の首筋に命中して喉仏の少し下から出て

コナリーの右の背中に命中し、右胸から出た後で右手首を貫通

して右腿で止まったという。

 人骨の中でも手首はひときわ硬いため、銃弾399が奇妙だという

指摘は当初からあったが、弾の損傷の確認のため、解剖用の遺体

の手首を撃ったところ弾頭がひどく潰れてしまう結果となったことは

疑惑に拍車をかけた。

 




 片や人体を三度貫通して七つの傷を作り、片や一度の貫通で二つ

の傷を作っただけなのに、何故ここまで損傷の度合いが違うのか?

 しかも、手首を貫通した条件が同じであったにもかかわらず、だ。

 その理由は、銃弾399が予め用意された偽物だったからだと研究

家は説き、世間の人々は彼らにヤンヤの喝采を送った。 
”魔法の銃弾”理論内の、”手首を貫通しても弾頭が潰れない奇妙な

銃弾”は陰謀説の拡散にひどく役だった。


 だが、90年代以降ウォーレン委員会の結論を検証するためケネ

ディとコナリーの狙撃の再現テストが頻繁に行われた結果、弾は

高い確率で銃弾399に酷似した形状になることが確認され、陰謀

説の牙城は崩れた。

 研究家たちが滅多に紹介しない機材に、銃弾399を下から写した

写真があった。横から見ると変形がなく原型のままに見えたが、

実際には側面がひどく潰れ扁平になっていたのだ。

 下記の写真は、下院暗殺調査委員会資料からの引用だ。


 この、弾の変形をはっきり示す写真の紹介を巡って研究家内で暗

闘があり、陰謀アリ派(ほぼ全て)はこの写真を滅多に紹介せず「弾

は原型のまま」と言い張り、陰謀無し派(数人しかいない圧倒的少数)

は「弾はこんなに変形しているのに、”原型のまま”と言い張った」と

他の研究家を糾弾した。


 90年代に研究が進み明らかになかったことだが、弾が物体に命中

した時の速度と弾頭の変形の関係には一種の閾値が存在したのだ。


 1992年のオズワルドの模擬裁判番組では、検察側がケネディと

コナリーの胴を貫通した後の減速を再現したテストを行い、弾頭が

変形しないことが確認されている。

 1993年の、ジョン・ラティマー医学博士による遺体の胴体を貫通後

手首に命中するテスト方式では弾は銃弾399同様先端が変形せず

側面が潰れる形状になることが確認された。

 2004年の、ディスカバリーチャンネル番組内での人体を正確に

再現した人形二体を貫通後、ゼラチン内の手首を模した人工骨を

貫通させた後に板に命中する方式でも同様の結果となった。 

 2013年の、米公共放送番組『COLD CASE(難事件)』では合板を

貫通させる方式で同じ結果が出ている。


 同じように手首を貫通させたのに、事件と実験では何故こうも弾頭

と側面の変形に差が出たのだろうか?

 話が長くなるので、その原理と研究家による前代未聞の隠蔽工作

の解説は次回に譲る。

  (この項続く)