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 番組では、公式見解上オズワルドは六秒で三発撃ったとされて

おり、それは難しいのではないか?という疑義が提示されている。

 他にも批判があり、ボルト(遊底部)を操作して弾倉に薬莢を込

め排出するボルト・アクション銃は操作が複雑で連射は無理だと

か、遠ざかる動く目標を撃つのは困難だとか、一発目が全くの外

れなのに、ニ発目以降がより命中度が高いのは不自然だ、という

論もある。

 これらの指摘は全く的外れなのだが、本ブログは基本中の基本、

初歩中の初歩中心なので、ここでは扱わない。


「公式見解上(もしくは、ウォーレン報告書では)、オズワルドは六秒で

三発撃ったとされている」という言い回しは良く聞かれる。

「六秒÷三発」=「一発当たりニ秒」という超速射でニ発命中は神業

だというのだ。


 だが、報告書にはそのような記載はなく、これは全くの捏造もしくは

資料の改竄だった。

 ウォーレン委員会による、狙撃に要した時間算出は現場の人々の

証言とザプルーダー・フィルムから割り出したものだが、それは一発目

の銃声が広場に響き渡り人々がそれを認識した瞬間と、三発目がケネ

ディの頭部を撃ち抜いた瞬間の時間差であるため、現実には

「公式見解上、オズワルドは六秒間で一発目の後のニ発を撃った」と

いうことであり、報告書にもその旨記載されている。


 報告書本文では三発のシーケンスが詳細に解説された後に『狙撃

に要した時間』という項があり、「事件現場にいた目撃者たちは、概し

て言うと狙撃は五秒から六秒の数秒内で行われたと証言している」

(報告書117ページ)という書き出しに続き、ニ発目が外れた場合は、

三発に要した時間は四.八秒から五.六秒と換算され、一発目か三

発目が外れた場合は、一発目の照準を付けてから発射までをニ.三

秒とすると、七.一秒から七.九秒と換算され、一発目がそれ以上な

ら全体の時間はさらに伸びる、と締めくくられていた。


 委員会の最大公約数的結論は外れたのは一発目としているため、

狙撃の総時間は八秒近いことになり、単純計算で行くと

「八秒÷三発」=「一発当たりニ.七秒弱」の連射でニ発命中という

ことになる。


 よく言えば慎重、悪く言えばまどろっこしい文章表現が災いして、

「一発目を撃った後、六秒間で残りニ発を撃った」という説明が

研究家の歪んだ解説の結果世間では「六秒間で三発撃った」

ことになってしまったのだ。


 後年、ザプルーダー・フィルムの鮮明化で一発目のあった時間が

ウォーレン委員会の算定より前だったことが明らかになり、現在は

オズワルドは「八秒で残りニ発を撃った」という見解が主流で、

「十.三秒÷三発」=「一発あたり三.四秒強」が単純計算の結果

で、一発目と二発目の間が「一.六~三.五秒」、ニ発目と三発目

の間が「六.七~四.八秒」とされている。


 また、「三発撃ちニ発命中した」というが、ニ発目はケネディの右肩

の首筋付近に当たったため、「標的には命中したが、的の中心は外

れた」というものであり、研究家の言うほど狙撃手は凄腕ではなく、

狙うのに一番時間をかけたのが三発目なので標的の中心(頭部)に

命中した、という自然な流れであった。


 事件から五十一年が経ち最新技術がより正確な事件再現を

可能にしたにもかかわらず、暗殺研究家たちが今も「ウォーレン

委員会によれば」「公式見解によれば」という枕詞付きでオズワル

ドの狙撃を説明するのは陰謀説に都合が良いからに他ならない。

 しかも、先に説明したようにその内容は完全なデマであった。


 日本テレビの番組作りに問題あり、というより、ケネディ暗殺

を語り研究する上で暗殺研究書は役に立たないということだ。

 暗殺研究家たちは、正確な事件再現に興味も関心もなく、

陰謀説を煽ることしか頭にないのである。